完全無欠の名探偵  西澤保彦 講談社文庫




遠く離れて暮らす孫娘りんのため、大富豪がお目付け役に送り込んだ青年山吹ちはる。
「誰も嘘をつけないのよ、きみを前にすると」
彼が短いあいづちを打つだけで、人々が勝手に記憶の糸を辿り、隠された意外な真相へと導かれる。
精緻なロジックで事件が分析、推理されていく究極のアームチェア探偵





<作者紹介>

1960年生まれ
「聯殺」が第一回鮎川賞候補となる。

<感想>

西澤はこうでなくてはいかん
「限定された能力」を「限定された世界でつかう」西澤節全開です!

今回は「誰も嘘がつけない」というのがミソになると思って読んで、そんな甘い話ではない!と悟らされました
なんせ、山吹は善意の第三者から一歩も脱け出せないのです
ただ話しを聞くだけで「どうしてこの人はこんな話を自分にしてくれるのだろう?」とも思わない、いわゆる愚鈍な人間なのです

彼に打ち明け話をした人間が次々に連鎖していくのですが、いかんせん「問題提起=解決」の道筋をつけるのは、相談した本人だけですから、山吹は具体的にどう話がすすんでいるのか、まったく把握できていません。
連鎖に気付くのは、読者が先なのです。
まったく面白い!

もちろん後半になると、いろんな話が収束していくのですが、それが思わぬ方向に向かいます
ミステリの収束よりも「能力」の収束に気持ちがいってしまうのは……う〜〜ん、西澤の小説の唯一の欠点でしょうか(^^)