空に穴があいた。真っ黒な穴が。
それは突然の事だった。夜明けと共に現れた。全く見た事が無いような穴だった。空の半分を覆い尽くしていた。
そしてまるで何かを吸いこんでしまうほどに暗かった。
人々は驚き、うろたえた。
事態を重く見た国連軍は穴を攻撃し始めた。しかし、どこまで行っても穴は見つからなかった。
ミサイルを撃ちこんでも穴に届く事は無かった。穴は確かに空にあるはずなのに。
某科学者「プラズマです!!」
某UFO研究者「アダムスキー形UFOです」
ノストラダムス研究者「これはノストラダムスのアーダコーダ」
某宗教団体「ついに破滅のときが!!サリン撒くぞ。ポアするぞ」
基地外「前世ではムーの戦士だった私達が地球を守る!!」
エヴァのファン「使徒がやってくる!!」
などの説が出まわった。
その穴は、いつまでも空いていた。しかし何も起きなかった。穴自体は。
しかし、その穴についての論争は果ては宗教やイデオロギーをも巻き込み世界中で混乱が起こり始めた。
牧師「ついにキリストが復活を遂げるのです」
ユダヤ教「いや、救世主はエホバの神だ!!」
イスラム教徒「アラーの神よ!!私に豚肉食わせてください!!」←斬首
お坊さん「仏さまが今にクモの糸をたらしてくれるに違いない」
フセイン大統領「わが国に幸運をもたらしてくれる!!毒ガスを撒くぞ!!」
北朝鮮「日本憎し。テポドン!!」
とにかくあちらこちらで訳がわからないほどの騒ぎになった。人間という動物は、意見が分かれると、なぜか戦争したくなる物らしい。
ついに宗教戦争が暴発した。まずはイスラム教徒とキリスト教との抗争だったのだが、なぜか中東とヨーロッパ、そして瞬く間に世界中に広がった。
まるで穴がすべての人の憎しみを増幅させたかのようだった。穴とは関係ない事まで巻き込み戦争は広がっていった。
そのどさくつに日本は真っ先に侵略されてしまった。
穴が消えた。こつぜんと。
それでも戦争は終わらなかった。
一度ついた火種は収まる事が無かった。憎しみは憎しみを生み血を血で洗うような戦いが繰り広げられた。
ついに核が使われた。どこかの頭が狂った大統領が追い詰められた際くるしまぎれに核ミサイルを発射した。
続いて冷戦時代の遺跡となっていた旧ソ連とアメリカの核ミサイルが世界中に撒き散らされた。
ほとんどの地域は核の影響でほとんどの生物が死滅し、直接的に影響を受けなかった地域も核の冬により全滅した。
再び穴は現れた。すべての生物が滅びてから。
穴は愚かな人間を笑っているように見えた。穴は前よりも大きく、黒くなっていた。死者の魂を吸いこんだかのように。
そして今でも穴は死の星となった地球を眺めている。なぜなら・・・・。