くしゅっ。

かたわらで小さな、くしゃみの音がして目が覚めた。

コツ・コツ・コツ・コツ・・・・・・。

居間の大時計の音が、ひそやかに、ゆっくりと時を刻んでいます。まだ薄暗い日差しの中。

寝ぼけ眼をこすりながら、まだぼんやりして回転しない頭を一振りする。

「・・・・・。うん・・・・。──あ、えっ・・・?」

(アンジェ?!)

わたしの膝の上で、アンジェリークは小さな寝息をたてていました。

(しまった。またやってしまいました)

わたしは状況を理解しました。

昨日の晩、急に思い出したことがあって、わたしは居間で、図書館から借りてきた文献を調べていました。

アンジェリークがわたしの館に来る以前から。

文献を読むのに、つい夢中になり・・・そのままソファで本と一緒に眠ってしまうことが、わたしには

しょっちゅうあったのです。

わたしの肩には毛布が掛けてある。アンジェがわたしを心配してかけてくれたのでしょう。

(ついでに、一緒になって眠ってしまったのですね。アンジェ)

アンジェの触れている膝があたたかい。

わたしはそっと、自分の肩にかけてあった毛布をアンジェにかぶせます。

「あなたのほうが、風邪をひいてしまいますよ?アンジェリーク」

そうしたら・・・わたしのせいですよね。と思ったら、なぜだか、ちょっと気恥ずかしいような嬉しいような

気持ちがした。女王に風邪をひかせるなんてとんでもないのに。

砂漠の民族が身につけるターバンはほとんど解けている。無造作にそれを引っ張って、傍らのテーブルの上に置いた。

ふあぁとあくびをかみ殺しつつ、時計をみると、まだ朝の四時。

(もう一眠りできますか)

ぱさ、と前髪をかきあげて。

わたしはアンジェを起こさないよう、そっと抱き上げ、寝室のベットで眠ることにしました。

 

☆☆☆

 

「ルヴァ様、アンジェリーク様、朝でございます」

まぶしい朝日が、開け放たれたカーテンからベットに降りそそぐ。

知恵の守護聖とアンジェリークは、気持ちよく熟睡したままだ。

長年、館をとり仕切っている執事は感心した。

最近、彼の主が、本に埋もれてソファで眠っている姿を見ない。

万年寝不足であった知恵の守護聖が、寝室で朝日を浴びることができるようになったことは、まことに

よろこばしい。これもアンジェリーク様が館に来て下さったおかげだろう、と。

 

END

 


藤谷:

アンジェに風邪をひかせてしまって、あやまりながら、おかゆを食べさせてあげてるルヴァ様の図というのも良いですね!

ところでルヴァ様。執事さんには、ターバンとった姿見られても良いのかなあ?素朴は疑問です。