たろがやって来た


1996年12月、生後約1ヶ月のラブラドールレトリバーが我が家へやって来た。
彼の名前は、父親の一存で「たろ」と決まった。
その時の事は今でもよく覚えている。なぜならその日、そのせいで私は寒い中何時間も家の前で待たされたのだから…
部活へ行っていた私が帰って来ると、車がなく家には誰もいなかった。たまたまその日はカギを持ち忘れてしまっていたため、しょうがなく家の外で家族の帰り待っていた。私の予想としては、みんなでちょっとした買い物へ出かけただけでそんなに遅くはならないだろうと思っていた。しかし、何時間経っても帰って来ない。空もだんだん暗くなり、何と言っても寒い。私は次第にイライラしてきた。カギを持っていなかった私が悪かったとはいえ、こんなに遅くまで私をのけ者にしていったい何をしているのだろうか?私が寒い思いをしているのも知らず、楽しんでいるに違いない。そんなことを想像すればするほど腹が立ってきて、帰って来たらまずどんな文句を言おうかといろいろ考えて時間を過ごした。
そして、やっと帰ってきた。私は今まで考えていた文句を一気に言おうとみんなの顔をにらみつけた。しかし、誰一人として申し訳ないという顔をしていない。むしろニコニコとしている。ふと見ると母親が大事そうに何かを抱えていた。子犬だった。それを見た瞬間、文句を言うタイミングを失ってしまった。そして、いろいろな準備をしたり、名前を考えたりと忙しく、結局何も言えないままとなってしまった。
今思いだすと、あんなに待ったあげく文句を言えなかったのはちょっとくやしい気がする。けれど、その子犬のおかげで私の生活は、飽きることのない楽しいものとなっているのだから、まーよしとしようと思う。



本当に来たばかりの時の写真。まだまだあどけない、かわいい顔をしている。この甘いマスクを見て、あんなにイタズラをするようになるなんて誰が想像しただろうか……?

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