まずは横浜から。

僕がこの業界(風俗業)に足を踏み入れて最初に働いたのが横浜は某G系(わかりますか?)のG・Cと言う店舗でした。
まあ、入店した当初はやっぱりと言うか、あらゆる雑用が待っていました。
まずは、店内清掃に始まって、接客(コース説明だとか。)後は捨て看板巻き。
まあ、仕事はどうでもいいですね。
まず、この店で最初のロマンスが現れました。
そして、一発目にしては少し重い話し。少し切ない話しです。
その子はA沢と言う源氏名でした。(今では違いますが、当時は全部苗字が源氏名でいた。)
当時は、阪神、淡路大震災の真っ只中だったんです。
まあ、詳しいことはその子の為に省きますが、 A沢は(正確には家族が)被災してしまいました。
で、A沢はまあ、色々な費用を稼ぐ為に上京してきました。
最初は僕も、 「ああ、まだ、こんな生活苦の子がいるんだな」程度の事しか思いませんでした。
でも、次第にA沢の一生懸命さに引かれて・・それがいつしか恋心に変わっていきました。
そう、ここで、僕は絶対にやってはいけないタブーを犯したのです。
「店の子との恋愛」 と言う、一番のタブーを犯しました。
僕はこのA沢とどうしても仲良くなりたくて、社長にこう言いました。
「A沢の面倒見させてください。」 その頃は、そこそこ社長の信頼もあって、二つ返事で
「やってみろ。」のお言葉。
きっと・・・やる気を出したんだなと思ったんでしょうね。
そこから、僕とA沢の距離は一気に縮まりました。
A沢は店の寮に入っていました。
この寮のある地域、恐ろしいほど治安が悪くて、女の子一人で歩いて帰す訳にもいかないので、
A沢に軽く「送って行こうか?」と問い掛けたら、 ありったけの笑顔で、「うん!」と言ってくれたんです。
嬉しかった・・・僕を迎え入れてくれた事が…信頼してくれた事が…何よりも嬉しかった。
そして、帰りは毎日一緒に…手を繋いでって訳にはいかないけど…
ほんの10分位のデートが続きました。
そして、ある日僕とA沢の休みが重なったんです。
その日は早朝営業の準備があって、恐ろしい程の残業をして、休みだと言うのに 爆睡していました。
夕方頃、携帯が鳴りました。
「ハイ、もしもし・・・」寝起きの声で機嫌の悪い事、悪い事…
「あ、もしもし葛西さん?ウチ誰か解かる?」
「ん…A沢…エッ…A沢!?」
「どないしたん、そんなケッタイな声出して(笑)」
「どうしたの…今日休みだろ?」
「休みで暇なんよ…カラオケ行かへん?」
「でも、なあ…やっぱ…まずいでしょ?」
「大丈夫や、お社(社長)の許可もろてんから。」
「ほんと?」
「うん。ホンマ。」
「じゃあ、行こうか?」
「うん。じゃあ、6時に○○で待ち合わせな。」
「OK、解かったじゃあ、あとでね。」
ウソかと思いました。
何かあるとヤバイので、社長に確認のTEL。すると
「今日1日A沢任せたからな、宜しく頼む。」との言葉。
「よっしゃ!」と心の中…どころか、声を張り上げてのガッツポーズをしていました。
そして、出来る限りのおめかしをして、待ち合わせの場所へ。
遠くから見るA沢は随分大きく見えました。
それもその筈、普段でも170あるのに、ヒールを履いてもっと高くなってるのですから。
(因みに僕は160です^^;)
とまあ、身長差もある二人が並んで歩いて…目立つ事…
そして、自分で言うのも何ですが、A沢は店のナンバー2で、そこそこの美人なんです。
一緒にいるA沢に気の毒になって…
「なあ、無理して歩かなくていいよ?」中途半端な気を使ってしまいました。
「何で?」屈託のない笑顔で聞き返してきます。
当時僕は自分に自信の無いコンプレックスの塊のような男だったんです。
だから、すごく、A沢に悪くて…
「もっと、自分に自信持った方がええよ^^」笑って彼女は言いました。
この一言で救われました。
「ほな、行こうか?」 一瞬、、ほんの一瞬だけど僕とA沢の手が触れ合いました。
そして、そこから、僕とA沢の幸せな時間が流れてゆきました。

「ウチ、日本語の唄よう、歌えへんねん。」
一瞬「ドキッ」としました。
彼女は神戸のお嬢様だったのを思いだしました。
日常会話は全て英語。
履歴書を書くのだって、辞書を片手に書いていたと聞かされていました。
でも、そんな事を彼女は気にせずに、カラオケは続きました。
「ほな、ラストの曲な。」
ああ…もう終わりなんだなと思いました。
そして・・A沢は歌詞も見ずに、僕の方を見て、僕の目を見つめて唄っています。
一瞬目を伏せてしまいました。
「ウチの方見ていて!」
彼女が歌っている曲。タウンボーイズギャングの 君の瞳に恋してるでした。
いつの間にか、僕の両目からは涙が流れていました。
嬉しかった。A沢が心を込めて、この歌を歌ってくれているんです。
その日はなんだか、嬉しくて眠れませんでした。
それから、何日間か、寮までの帰り道と、電話でのやり取りが続きました。
でも、終わりなんて、呆気ない一言でやってくるものなんですね。
「店員の○田はイイ奴だから、仲良くしてやってね。」
「うん、わかった。」
言った通り、A沢は○田と仲良くなったんです。それも、必要以上に…
丁度その頃、新しい店舗を出す事が決まっていて、僕がその店の店長になる事が決まっていました。
僕はA沢と○田が仲良く会話してる事に嫉妬をしてしまい、これ見よがしに、 社長にこう言ったのです。
「新店舗にはいつ頃行くんですか、僕は?」と。
G・C店から、新店舗への女の子の移動は予定していませんでした。
それは、必然的に僕とA沢は別の店で働く。。。
接点が無くなる…つまりお別れを意味していたのです。
ちらと、A沢の顔を見ました…。
ちょっとした意地悪のつもりだったのに…
彼女は…今にも泣きそうな顔をしていました。
ほんの些細な一言…
これが、僕には軽い一言でも、彼女には、きっと絶望的な一言だったんでしょうね。
彼女が僕の前から、姿を消したのは1週間後の事でした。
僕は、思いやりの無い事をしてしまいました。
社長に聞いても、ほんとは知ってるんだろうけど、
どこに行ったかは教えてくれません。
僕の中では、今でも鮮明に残っています。
A沢の歌った「君の瞳に恋してる」が今でも、そして、これからもずっと…ずっと…

些細な一言が女の子の心に傷をつけます。言葉には気を使ってあげてください。


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