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1999年12月号

☆武庫女会のセミナーレポート☆


日本酒だ〜いすき

『菊正宗・日本酒ゼミナール』に行ってきました。 菊正宗酒造では、閉鎖的であった酒づくりの世界を 様々な事業を展開して今に伝えています。 このセミナーは、1984年に開始してから もう少しで300回を迎えるそうです。 全国各地や海外でも開催されているようですが、 蔵見学ができるのは今回訪れた神戸会場だけです。


★見学「季節醸造蔵(嘉宝蔵)」
社員が働くところを工場、 季節工の人が寝泊まりしながら 働くところを蔵と呼んでいます。 丹波杜氏と言いますが、今では 丹波も大阪などへの通勤圏内に入るので、 但馬・福井・石川などの人が多く 夏場の仕事も農業だけでなく 漁業・大工などと様々だそうです。 三番蔵と五番蔵のうち、 杜氏の案内で五番蔵の方を見学しました。 まず、蒸米ができる過程を見ました。 お米を洗って(洗米)、水に漬けて(浸漬)、 蒸して、冷まします。 ここは全て機械が使われています。 蒸しあがったお米は水分が少なく特に おいしいものではありません。 練って蒸しあがりをチェックするのですが、 これはもちもちしてとてもおいしかったです。 蒸米は、3つの行き先に分かれます。 1つ目は、麹(こうじと読む)。製麹室へ入ると 「昔は女人禁制だった」という話がありました。 時代の流れでそんなことは 言っていられなくなってしまったようです。 蒸米に麹菌(もやしと呼ぶ)を繁殖させたものが麹で、 機械で温度管理しながら2日間程でできあがります。 見た目は、白いお米がパラパラした状態です。 2つ目は、酒母です。 酒母室では、ここまでの行程と違いたくさんの職人さんがいて、 手作業で何かをかきまぜているところが目に入りました。 菊正宗ではいちばんここにこだわっており、 7〜10日間ほどでできる速醸系酒母ではなく、 日数が倍以上かかる生もと系酒母をつくっています。 蒸米と麹・宮水を合わせます。 菊正宗では、独自のキクマサ酵母を使用しています。 日数が経つにつれお米の粒もなくなり ドロっとしたかんじになっていきます。 3つ目が醪(もろみと読む)です。 酒母に、麹・蒸米・宮水を合わせます。 添・仲・留の3回に分けて仕込むので、 三段仕込と言うそうです。 14〜20日間で熟成させます。 大きなタンクの上から中をのぞきました。 かなりお酒らしいにおいがしてきましたが、 炭酸ガスが発生するので 人はタンク内に入っていられないそうです。 最後に圧搾機(酒粕とわけられる)のところで しぼりたてをいただきました。 今日は残念ながら甘口らしく、 マスカットのようなフルーティーな味でした。 蔵見学の後、酒母と醪もいただきました。 ちょっとお酒の飲めない方にはきついかもしれませんね。


★解説「日本酒ができるまで」
蔵を見た後、酒づくりの行程について 復習といったかんじです。 清酒は、米と水からつくられます。 米は山田錦、水は宮水。 これくらいは誰でも知っているでしょうか? 山田錦は、一般米に比べ大粒で中心に心白と 呼ばれる不透明な部分を持つのが特徴で、 価格も高いです。兵庫県の吉川(よかわと読む) などが産地となります。 宮水は、西宮神社近くのある一画に湧き出る カリウム・カルシウム・リンを多く含む硬水で、 鉄分が少なく酒づくりに適するそうです。 酒づくりは、精米からはじまります。 お酒の分類は、精米歩合も影響します。

  吟醸酒・・・・精米歩合60%で(50%になると"大"が付く)、醸造アルコールを加える。
  純米酒・・・・精米歩合70%で(60%になると"特別"が付く)、醸造アルコールは使わない。
  本醸造酒・・・精米歩合70%で(60%になると"特別"が付く)、醸造アルコールを加える。
蔵で見た行程のあとは、火入れされ約半年間貯蔵します。 火入れをしないものが生酒です。 冬につくって、秋に飲む酒がいちばんおいしいそうです。


★昼食
何せ「1日で日本酒の通になる」というのですから、 ゆっくり休む暇もありません。約20分程の昼食タイム。 お酒はでませんでしたが、 仕出し弁当に粕汁はとてもおいしかったです。 しかし、14名程の参加者というのに 資格試験でも受けに来た雰囲気で、 和気あいあいとしたところがありませんでした。 それだけ時間もなければ、しゃべる間もなく 食べるだけで精一杯になってしまいますか!?


★見学「菊正宗酒造記念館」
今年1月に復興オープンした記念館。 以前は、木造の蔵を利用していたそうですが、 あの阪神大震災で倒壊してしまいました。 しかし、幸いなことに中の文化財は ほとんど元の形のまま残りました。 昭和30年代以降機械化が進んだということですから、 それ以前の酒づくりの様子がうかがえます。 お酒があまり強くない方には、 こちらの方をオススメします


★講演「お酒の上手な飲み方」
お酒を分解する酵素ALDH2とやらを 日本人の半分くらいは持っていないそうな。 すぐに顔が赤くなる人ですね。 酒を飲みながらのタバコはよくないそうです。 話より、講師の方が右手をズボンのウエストの ところに入れるのが気になってしかたなかった。


★映画「昭和9年の酒造り」
酒造行程を解説した記録映画。 記念館で見た道具が、どう使われていたのかがわかります。


★座談会「杜氏が語る酒造り」
蔵を案内してくれた五番蔵の杜氏の話。 社員の人からは「五番蔵のおやっさん」と言われています。 そんなにがんこなかんじの人ではなかったけど、 酒造りに対するこだわりは持っているようでした。 杜氏の世界でもヘッドハンティングがあるそうですが、 その人はよそから誘いがあってもずっと菊正宗一筋。 蔵の中のほとんどのことは杜氏にまかされており、 酒造りのことのみならず人事権まであります。 普通の仕事と違って、半年間食寝も共にするので チームワークも大事です。 いっしょに参加していた人で 「職人になるには?」という質問をしていた人がいたのですが、 彼は本気でなるつもりだろうか?


★実習「きき酒の解説と体験」
きき酒って「ききざけ」ではなく「ききしゅ」って 読むのですね。底に蛇の目模様の入った 器が出てくると思っていたら、プラスチックの 透明カップでお酒が用意されました。 以前は1つのお酒に1つの器と みんなで同じところに口をつけていたのですが、 エイズ問題をきっかけに使い捨ての容器に 切り替わったそうです。 吟醸酒・本醸造酒・純米酒・原酒・樽酒の 5種類を飲み比べました。 もちろん全て菊正宗のお酒です。 色・香り・味・のどごし・後味、どれも微妙に違います。 家でもできますから、仲間で持ち寄って 「きき酒会」をしてもおもしろいかも!? 次に燗酒と肴が出てきました。 菊正宗は、燗にして飲むのがおいしいと 杜氏が言われていましたが、 確かにこれがいちばんおいしかったです。 菊正宗は「量産のあまりおいしくないお酒」と 思っていましたが見直しました。 燗には適燗(又は上燗)というものがあって、 それは50℃前後だそうです。 しかし、お店で適燗を頼んでも 熱燗ですかと聞き返されることが多いと 講師の方は嘆いておりました。 また、ひやと冷酒もよく勘違いされる。 お酒をおいしく飲むには、温度や 料理との相性がある。 お店の方にはよくこのへんのところを わかっていてもらいたいですね。

おみやげ

  菊正宗酒造株式会社 文化事業部
    神戸市東灘区魚崎西町1-5-11  TEL.078-854-1035
  
    ●日本酒ゼミナール 神戸会場は、
      10:00〜17:30で受講料 7,350円。
    ●酒の肴料理教室なども開催されています。