我が家に夏の訪れを告げるもの

 

ここ3年我が家に夏を告げるものは、蝉でもスイカでもありません。

冷夏の今年、それはいつもより一週間遅れてやってきました。

それ?失礼ですね。ジャパンテントの留学生です。一昨年はモンゴルからホテル経営の勉強をしているゲレルさんがやってきて緊張の数日を過ごしました。なぜって?ゲレルさんは二十歳の女性!だから最後の晩、私と息子たちは早々に追い出され、母と妻とまるで娘のようにファッションショーをしてすごしていました。

昨年、中国雲南省からやってきた謝さんは書が趣味だったので、母に漢詩を書いて残してくれました。書のわからない私は彼が教えてくれた象形文字(トンパ文字)の魅力にとりつかれてしまいました。

そして、今年やってきたのは、なんとモロッコからの留学生ボーレンワ−ル・アブデッラさんです。廃部寸前の広島大学相撲部に入部したというちょっぴり変わった大学院生。好奇心旺盛で、大学から借りてきたビデオカメラを振り回し、あちこち見るもの聞くもの取材し、家族誰でもつかまえてインタビューしてまわる。海が大好きで一番喜んだのがサザエ採り、恋路海岸ではいきなりシャツを脱いで「海が私を呼んでいます」と海水をかぶっちゃうアブさん。シーフードとスイカとメロンが大好きで豚肉(宗教的な理由で食べない)以外なんでも食べちゃう愉快なアブさん。ピノキオの仲間とのバーベキューでは、「皆さんにお世話になったお礼にもなりませんが」と焼き鳥や野菜焼きを素手でひっくり返して「私の手は最初からやけどしています。ほら真っ黒」と笑っているアブさん。「自然がいっぱいです。自然が一番大切です」と真剣に内浦への移住を考えちゃうアブさん。

「モロッコってどこ?」と聞いていた家族も「イスラム教・・・礼拝するのかな?豚肉食べないし、酒飲まないし」と心配していた私も、アブさんが出発したあと、心にポッカリあいた穴の大きさに驚いていました。まるで、ウルルン滞在記みたいです。

こんなアブさんがこんなことを言いました。「この町はいいところです。お父さんは車を運転していても知り合いにお辞儀します。すると相手も挨拶します。この町には心のつながりがあります。私のお父さんが生まれたオアシスの町によく似ています。私もこんな町に住みたい。私の研究は、インターネットがあればどこでもできます。」

これからの街づくりのヒントや、子どもたちに伝えていきたいことを思い出させてくれたアブさんはたった三日という時間を共有しただけですが、家族史にこれからも笑顔を振りまいてくれることでしょう。

さあ、みなさんも素敵な夏の来訪者を受け入れてみませんか?ちょっとだけ勇気を出せばいいんです。留学生たちみんな日本語上手ですよ。

ちなみに私はもう来年の予約をお願いしました。          (内浦広報20039月号)

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