願い
無言のうちに多くのことを語っている小さい手を
差しのべてくださるとき、
私はいつかあなたにたずねました、
私を愛してくださるか、と。
私はあなたに、愛してください、とは望みません。
ただ、あなたがそばにいてくださることを知り、
あなたが時折無言でそっと
手をさしのべてくださることを望むばかりです。
独り
地上には
大小の道がたくさん通じている。
しかし、みな
目指すところは同じだ。
馬で行くことも、車で行くことも
ふたりで行くことも、三人で行くこともできる。
だが、最後の一歩は
自分ひとりであるかねばならない。
だから、
どんなつらいことでも
ひとりでするということにまさる
知恵もなければ、
能力もない。
八月の終わり
もう諦めていたのに、夏は
もう一度力をとりもどした。
夏は、だんだん短くなる日に凝り固まったように輝く、
雲もなく焼きつく太陽を誇り顔に。
このように人も一生の努力の終わりに、
失望してもう引っ込んでしまってから、
もう一度いきなり大波に身をまかせ、
一生の残りを賭して見ることがあろう。
はかない恋に身をこがすにせよ、
遅まきの仕事にとりかかるにせよ、
彼の行いと欲望の中に、終わりについての
秋のように澄んだ深い悟りがひびく。
美しい人
おもちゃをもらって
それをながめ、抱きしめ、やがてこわしてしまい、
あすはもうそれをくれた人を忘れている子供のように、
あなたは、私のあげた私の心を
きれいなおもちゃのように小さい手の中でもてあそび、
私の心が悩みけいれんするのを目にとめない。
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