1.盆栽とは
2.盆栽を始めるにあたって
3.盆栽に必要な道具
4盆栽に適した樹木

5.盆栽の樹形
6.サツキ



1.盆栽とは
  
  深緑の山々、広陵たる大地草原、無限に広がる空と海
  人間はこのような大自然の下で過ごすのが本来の姿であり
  心穏やかな生活をおくれるものであります。

  殺伐たるコンクリートジャングルの中で現代人は
  この本来の姿を失われつつあります。
  現代社会においてもわずかなスペースで自然を楽しめるのが
  盆栽であります。

  広々とした大地に茂る大樹、断崖絶壁に力強く育つ木々。
  これらを自らの工夫と努力で家庭内に創りだし
  エンジョイしてみませんか。

  この小さな大自然で、春の芽吹き、初夏の新緑、秋の落葉、冬の裸木
  と四季の移ろいが楽しめます。
  樹木の移り変わりを身近に感じる事により心が安らぎ、
  素朴なその姿を眺めることで感動にうたれるのが盆栽の魅力です。

  樹木も生き物であります。可愛がってやり、慈しみの心で接していれ
  ば育て親の期待に答える美しいのびのびとした姿を見せてくれます。
  人生の心の潤いに盆栽を始めてみてはいかがでしょうか。

2.盆栽を始めるにあたって
  
 
 人間も、動物も、植物もみなこの世に生を受けた生き物です。

  お腹が減り、喉が乾きます。
  寒さを感じれば、暑さも感じます。

  そんな時あなたはどうしますか?
  食事をし、水分を取り
  コートを着たり、半袖に着替えたりしませんか?

  植物だって同じです。
  肥料を与え、水をやり
  日向に置き、日陰に移してやらないと
  元気な姿を見せてくれません。

  お洒落をしてみたくなりませんか?
  病気になることはありませんか?
  そんな時は姿を変えてやり、薬を与えなければなりません。

  人間だって、植物だって同じです。
  そんな思いやりを持って接していきましょう。

  
3.盆栽に必要な道具
   
   はさみ・・・剪定(せんてい)ばさみ、芽摘みばさみ・又枝切り
         等々・・(小枝を払う)
  ノコギリ・・・小さめが良い(不要な太枝を剪定)
  切り出しナイフ・・・挿し木・接木
  ふるい・・用土の調整
  ピンセット・・・雑草を抜く・小さな芽を取る・根をほぐす
  針金・・・枝振りの矯正
  鉢・・・仕立て鉢・泥鉢・ゆう鉢
      丸鉢・平鉢・小品鉢・・・
  用土・・・鹿沼土・赤玉土・桐生砂・川砂・・・
       腐葉土・けと土・水ゴケ・・・

  等々があれば便利ですが最初はそんな面倒な事を考えず、
  花屋かスーパーか植木市等でそんなに高くなくても自分の
  気に入った鉢植えの木を買い求め毎日眺めているだけで良い
  と思います。

  日の当たる場所に置き、土がカラカラになったら水をあげて下さい。
  季節の変わり目に少しずつ変化があります。
  繁り過ぎると、自分の想像を巡らせてその通りに剪定してください。
  切りすぎて枝を枯らす事があるかもしれません。
  それも経験です。

  葉が残っている枝があれば大丈夫です。
  毎日眺めていると愛着が湧き、
  変化があるたび、喜びが湧きます。
  木に慣れ親しんで、その変化を知りましょう。
   
4.盆栽に適した樹木
   
  盆栽とは自然の世界をコンパクトに造りあげる芸術です。
  
ですから、全ての木々が盆栽に出来ますが、ここでは一般的で
  
て易いもの、見た目が美しくポピュラーな木々を紹介致します。

  「松柏」・松 ・杉
  「葉物」・サツキ ・楓(かえで) ・紅葉(もみじ)
  「実物」・梅 ・かりん ・姫りんご
  等があり、それぞれに沢山の種類があります。
  これ以外にも数限りない木々があり、それぞれの特性を持ち
  育て方も千差万別であります。

5.盆栽の樹形
   
  原則的には自然の有り姿を造り出せば良いのですから特にこだわる
   こともありませんが、見た目の美しさ、育ちやすさを良くする為の
   盆栽の樹形をとりあげてみます。


   「直幹」
   
     幹が直線的に伸びた端正な樹姿

   「模様木」
         幹がゆるやかな曲線を描く樹形

   「文人木」
         絵画的な樹姿

   「懸崖」
         けわしい山岳部や崖に生えなかば倒れながら
                 たくましく生きる樹形
                  
   「双幹」
         幹が2本に分かれている樹形
                  
   「株立ち」
         根ぎわから数本〜数十本の幹が連立した樹形
                  
   「寄せ植え」
         異なる数種類の木を植え自然の林を表現する
   「根連なり」
                  
         倒れた木のあちこちから発根し連立した幹を持つ
                  

   等があります。

      
それではこれから個々の木々を見てみましょう。
6.サツキ
   サツキの魅力は、木の育て易さが第1にあげられます。挿し木で増やす事も
   簡単で、又、樹形の作り方も簡単に行なえます。
   さらには、花の美しさ、色彩、柄の多さにもあります。

   その種類は二千種を越えると言われておりますが、花の良否、強弱、又、
   の時々の好み等により、現在は500〜600種ぐらいがあるようです。

   その種別の大きな種類として
   花色、花柄で
   (1)無地花 (2)底白 (3)瓜白、瓜紅 (4)絞り花
   花形で、一重咲きに
   (1)光琳咲き (2)波打ち咲き (3)車咲き (4)桔梗咲き (5)細弁
   その他、二重咲き、八重咲き、 采咲き・シベ咲き
   等に分別することがあります。

 ・苗木の選び方
   サツキはもともと山地の渓流に沿った岩場など湿気があっても土壌の少ない
   所に生えていたもので、それを順次改良して今日の多品種になった物です。
   丈夫で育て易い植物ですが、品質改良によって中には難しいのもあります。

   初めて育ようとされる方は一般的に育て易いとされる、花の大きな種類を
   選ばれると良いのではないでしょうか。
   苗木を買いに行き、安いものが大輪・中輪の花です。

   高価な最新品種は一般的には花が良ければ木の生育が悪いとか、その逆
   の場合が多く、初心者には不向きと思われます。
   育て易い木を選び、水遣りや肥料のやり方、剪定よ針金かけ等、サツキを
   培養するために必要な技術や日常管理等をマスターして次の段階に進めば
   良いと思います。

・苗木の植え方
 1.用土 サツキの培養土としては鹿沼土に山ゴケまたは水ゴケを混合したもの
    が最も適しています。
    鹿沼土はその名のとおり栃木県鹿沼をもとに関東ローム層の地下2〜3m
    で採取される土で酸性の小豆大で保水性、保肥性に優れ、しかも排水が
    良く通気性にも富んでいます。弱酸性の土壌を好むサツキには最適tの
    培養土です。
    生育度によって異なりますが鹿沼土に約3割程度混合します。

 2.鉢   サツキは根が横に張っていく性質があるため、中深の鉢を用います。
    苗木の大きさに応じた大きさのものを選ぶのが肝要で、小さすぎると水の
    乾きが早くて生育が悪く、大きすぎると水もたれをし根腐れの原因ともなり
    ます。大体の基準は、苗木の高さが20〜30cmぐらいであれば五号鉢
    (15cm)、40〜50cmぐらいであれば六号鉢が適当です。
    また、鉢は空気の通しがよく乾きがいい素焼きのものが適しています。

 3.植え方 苗木の根をほぐし古土を落とします。竹ベラなどで根の表皮を傷つけ
    ないようにかき落とすか、水洗いをして落とします。根が長すぎる場合は
    よく切れるハサミで切りつめます。
    鉢の底穴を網または小石などでふさぎます。鉢の底には大粒の鹿沼土を
    2〜3cm敷きます。その上に小粒の鹿沼土と山ゴケを混ぜたものを入れ、
    苗木を植え、竹ベラか箸で根のまわりに隙間ができないよう突きます。
    最後に、たっぷりと水をやります。

・管理
 1.植えた直後の管理
    植えた直後は根がいたんでおり、木も弱っています。直射日光を避け、日
    陰に置き、少し多めに水遣りをします。その後徐々に日の当たる所に出し
    20日ぐらいで十分日光の当たる場所に移します。
    肥料は根が完全に回復する3週間後ぐらいに、油かすを小さじに一杯づつ
    数箇所与えます。
 2.日常の管理
    年間を通じて屋外の日当たりと風通しが良く夜露のあたる所を選びます。
    日光はサツキを元気にさせ美しい花を咲かせるために欠かせません。
    5〜7月は最も生育の旺盛な時期で、翌年の花のツボミを形成する大切な
    時期であります。十分に日光を浴びると病害虫に犯されにくく、丈夫で冬の
    厳寒にも耐える木になります。
    サツキは自生地が渓流の岩場で非常に水を好む植物です。潅水が多い程
    木の生育が良く、夏は葉水もたっぷりと鉢の底から水が出るまでましょう。
 3.肥料
    サツキはさほど肥料を必要とせず、花後と秋の2回油かすの置き肥で十分
    です。30cm以下の鉢ならば小さじ2〜3杯程度を鉢の際に置くだけで効果
    十分です。

・整姿
    サツキの樹形を整える方法は、せん定と針金かけを併用するのが、最も
    容易にまた短期間で良い樹形を仕上げます。
    1.第一段階として、小苗のうちにせん定によって不要の芽や枝を切り、徒長
     した枝を短く切り詰めて木の形を整えます。
     それと共に、潜伏芽の発生を促して小枝を多く出させたり、枝の配列をよく
     していきます。
    2.何年かたって木が目的の大きさになり、枝振りも良く、幹が充実してきた
     ら針金をかけて最終的に整姿します。
  
・せん定
    サツキのせん定は花が咲き終わると必ず行わなければなりません。
    小さな苗木から盆栽に仕立てて行く為、また、完成した盆栽を維持して行く
    為の整姿 重要な作業です。
    また、花後の疲労回復と、樹勢を強化の為枝葉を刈り取って根の負担を軽
    くしてやります。
    せん定の時期は花後の5月下旬から6月の下旬に行います。
    この時期は重要で、コレをのがすと翌年の花がつかないばかりか、芽の
    伸びも悪く木も傷みやすくなります。
    今年の花は咲かなくても木を早く良くしたい場合は、花前にせん定を行い
    このほうが後の芽の伸びがよく、出た芽には全部翌年の花が咲きます。

・せん定の仕方
 1.どのような樹形に仕立てるかを想定し、木の正面を決めます。
    正面は幹全体が見渡せ、枝の配置の良い所にします。
   2.幹が小さい間は、早く上に伸ばす事を目的とし、横枝を出来るだけ少なく
    します。
   3.目的の大きさになれば、幹の先を切り積めればそこで高さが止まり、
    横枝やワキ枝の伸びが良くなります。
   4.重なった枝や、下向きの枝は切り取ります。
    枝の間隔は、下ほど大きく、上にいくにしたがって狭め、一方に偏らない
    用に前後左右に交互にだしていきます。
   5.全体の形としては、下の枝ほど大きくて長く、上にいくほど小さく短くして
    いき、三角形になるように仕立てていけば美しい形になります。
   6.形が完成した後は、前年のせん定後に出てきた芽や伸びた芽を刈り取り
    ます。
    枝の少ない部分は浅くせん定し、枝が密生している部分は風通しが良く
    なるよう深くせん定します。
    
・忌み枝・忌み形
  盆栽の樹形として忌みきらわれる枝や樹形で、盆栽の美しさや調和を損ねる
  ものを言い、生育にも悪く避けなければならないものです。

   「前枝」盆栽の正面から出て幹を隠す枝
   「閂枝」幹の一箇所から「かんぬき」のように左右に出ている枝
   「車枝」一箇所から数本・放射状に出ている枝
   「交差枝」枝と枝が交差して見える枝
   「立枝」横枝から垂直に立った枝
   「逆枝」途中から逆に戻った枝
   「平行枝」幹の同じ側から平行して出ている枝
   「落枝」垂直に垂れ下がった枝
   「幹切枝」正面の幹を横切っている枝
   「片枝」枝が一方にしかない形
   「蛙股」「片根」「芯止まり」「蛸づくり」「偶数幹」「ふところ枝」

  等があり、せん定の時に注意して取り除くように致しましょう。