土木構造物をつくるとき、不要な土砂を掘削したり、必要な土砂を補ったりして、計画に沿って地形を整えること。
土工には人力土工と機械土工がある。(近年は機械土工が一般的)
(1)土工の種類と用語
@切土または掘削
原地盤を切り崩すこと。
A盛土
原地盤上に土砂などを盛ること。
B埋戻し
掘削した箇所を土砂で埋めること。
C残土処理
余った掘削土を他の場所に運んで処分すること。
D浚渫
河川や海など水中の掘削。
E法面
切土や盛土によってできる傾斜面。
F土取場
盛土に使う土砂を採取する場所。
G土捨場
残土処理などで土を捨てる場所。
(2)土工計画
土工を事前に計画すること。
土や地盤は、それ自体が重要な土木構造物であると同時に、他の土木構造物をつくるうえでも基礎となる。現地の土や地盤の土質調査又は土質試験を行い、現地の土の性質を知った上で、計画をたてることが重要となる。
1.土質調査
[1]土質調査の手順
(1)土質調査
各種構造物の基礎、土構造物の本体などの設計施工に関連し、土の性質を、主として原位置(施工現場)で知るために行う調査をいう。土質調査には、原位置試験と、原位置から採取した土を室内で試験する土質試験がある。
土質調査には、大別すると、ボーリングとサウンディングがあるが、その他、目的にあったもので総合的に判断する。
(2)土質調査の手順
土質調査の手順として、まず予備調査そして現地踏査、本調査の3つの段階がある。
| 土質調査 | 内容 |
| 予備調査 | 本調査に先だち作業に必要な土質情報を得る。 |
| 現地踏査 | 資料の収集、現地の状況を確認して本調査の計画を立てる。 |
| 本調査 | 予備調査によって土質に関する概略が得られた段階で、現地において設計施工に際する、具体的な資料を得る作業。 |
[2]土工の調査に用いる主な原位置試験
原位置試験とは、採取した資料に対して室内でする試験ではなく、原位置(現場)で直接観測や試験を行う調査方法である。
| 試験の名称 | 試験結果から求められるもの | 試験結果の利用 |
| 弾性波探査 | 地盤の弾性波速度V | 地層の種類、性質、成層状況の推定 |
| 電気探査 | 地盤の比抵抗値 | 地下水の状態の推定 |
| 標準貫入試験 | N値 | 土の硬軟、締まりぐあいの判定 |
| ポータブルコーン貫入試験 | コーン指数qc | トラフィカビリティの判定 |
| オランダ式二重管コーン貫入試験 | コーン指数qc | 土の硬軟、締まりぐあいの判定 |
| スウェーデン式サウンディング | WswおよびNsw値 | 土の硬軟、締まりぐあいの判定 |
| 単位体積質量試験 | 湿潤密度Pt 乾燥密度Pd |
締固めの施工管理 |
| ベーン試験 | 粘着力C (せん断強さ) |
細粒度の斜面や基礎地盤の安定計算、法面の安定検討 |
| 平板載荷試験 | 地盤係数K値 | 締固めの施工管理 |
| 現場CBR試験 | CBR | 締固めの施工管理 |
| 現場透水試験 | 透水係数k | 透水関係の設計計算 地盤改良工法の設計 |
(1)探査試験方法
@弾性波探査
地中を伝わる波動の速さを測定し、地盤の弾性速度Vを求め、地盤の地質状態(地層の種類、性質、成層状況等)を推定しようとする方法。
A電気探査
地盤の電気抵抗から地盤の比抵抗値を測定し、地下水の状態を推定しようとする方法。
(2)サウンディング
原位置試験の一種で、ロッドの先端に各種の抵抗体を取付け、これを地中に貫入して土の抵抗を測定し、土の強度や密度を知る方法。
@標準貫入試験
サウンディングの一種で、規定重量のハンマを自由落下させ、標準試験貫入用サンプラーを30cm貫入させるのに要する打撃回数(N値)を測定する試験である。単管チューブ形の装置を使用して貫入記録をとるものであり、また、ほとんどの場合ボーリングと同時に実施し、その探査深度は大きいが、砂質土に比べて粘性土では信頼度は低い。なお、標準貫入試験では土の試料採取ができるから、地層の判別も可能である。
(用語)N値
標準ハンマを75cm落下させサンプラーが30cm貫入する打撃回数で表される。また一般的にN値の測定は深さ1mごとに行う。N値により、原位置における土の硬軟、締まり具合を判定する。
(参考)標準貫入試験による調査結果から判別推定できる事項
標準貫入試験を用いたボーリング調査の結果は、まずボーリング柱状図に整理され、続いて何本かのボーリング柱状図を集めて地質断面図にまとめられる。本来、ボーリング調査は点の調査であるが、断面図を作成することで、支持層の分布等の地盤状況も推定することができる。
標準貫入試験による調査結果から判別推定できる事項には、土の配列状態、N値の深さ方向、横方向の変化から総合的に判断される事項と、特定の範囲の土層のN値から直接推定される事項がある。
| 区分 | 判別、推定事項 | |
| 調査結果一覧図から総合判断する事項 | ・構成土質、深さ方向の強度変化 ・支持層の位置(地表からの深さと配列) ・軟弱層の有無(圧密沈下計算の対象となる土層の厚さ)、排水条件、液状化対象層の有無 ・その他 |
|
| N値から直接推定される事項 | 砂地盤 | ・相対密度、内部摩擦角(せん断抵抗角) ・沈下に対する許容支持力 ・支持力係数、弾性係数 ・液状化強度 |
| 粘土地盤 | ・コンシステンシー、一軸圧縮強さ(粘着力) ・破壊に対する極限および許容支持力 |
|
A静的円すい貫入試験(静的コーン貫入試験)
サウンディングの一つで、円すい形のコーンを地中に貫入させて、そのときの深度と貫入抵抗の関係を測定し、土層の硬軟、盛土の締まり具合(土の締固め管理)、地盤改良効果の判定などに利用されている。代表的なものにポータブルコーン貫入試験とオランダ式二重管コーン貫入試験がある。
1)ポータブルコーン貫入試験
最大断面積6.45cu、先端角30°のコーンを1cm/secの速さで人力により土中に静的貫入させて、その時の貫入抵抗からコーン指数(qc)を求めるものである。この試験は土工での施工機械のトラフィカビリティの判定や、軟弱地盤の比較的浅い層の土質調査、盛土の締まり具合(土の締固め管理)、地盤改良効果の判定などに用いられる。コーン指数が大きいほど抵抗が大きく、強い地盤である。
2)オランダ式二重管コーン貫入試験
マントルコーンとよばれる先端コーン(頂角60°、底面積10cu)を1cm/secの速さで静的貫入させ、マントルコーンが約5cm貫入したときごとのコーン貫入抵抗測定値(Qrd)を測定し、コーン支持力qcを求める。
コーン指数
ロッドの重量を含む貫入力をコーン底面積で除した値。
Bスウェーデン式サウンディング試験
原位置において行う静的サウンディングの一種である。規定重量の重錘(スクリューポイント)の静的貫入に必要なおもりの荷重と貫入量の測定を行い、続いて荷重を載荷させたまま人力による回転を与えたときの貫入量に対応する半回転数を測定する。原位置における土の静的貫入抵抗を測定し、その硬軟、締まり具合または土層の構成を判定するものであるが、短管式ロッドであるため、周辺摩擦の影響は避けられない。
サウンディングのまとめ
| 試験名 | 測定法 | |
| 標準貫入試験 | 標準ハンマを自由落下させ、サンプラーが30cm貫入する打撃回数を測定する。 | |
| コーン貫入 | ポータブルコーン貫入試験 | 円すい形のコーンを人力により貫入させその時の貫入量と貫入抵抗を測定する。 |
| オランダ式二重管コーン貫入試験 | マントルコーンを静的に貫入させ、5cm貫入毎の貫入抵抗を測定する。 | |
| スウェーデン式サウンディング試験 | 荷重の載荷によりスクリューポイントを貫入させ、荷重と貫入量を測定する。続いて人力により回転を加え、半回転と貫入量を測定する。 | |
(3)単位体積質量試験
現場における、地山または盛土の単位体積質量を求めるための試験で、地山や盛土の現場密度の測定を行うものである。一般に砂置換法、カッター法、γ線密度計等の方法が用いられている。
@砂置換法
測定地盤の土を掘り出して孔をあけ、その中に、乾燥砂を一定の方法によって満たし、その土の重量と試験孔の体積を測定して、原位置の土の密度を求める方法。
Aカッター法
モールドに刃先を付けたものを土中へ圧入し、土の試料を抜き取り、取り出した試料の密度を測定する方法。
Bγ線密度計による方法
RI(ラジオアイソトープ)計器を用いた、ガンマ線密度計により、土の単位体積質量を求めるものである。γ線の散乱吸収現象と土の密度が一定の関係にあることを利用した方法で、あらかじめ土を透過あるいは土によって散乱したときに検出されるγ線量と土の密度の関係を求めておき、現地での測定値から直ちに密度を求める方法である。
(補足)γ線密度計による方法の得失
@測定が非破壊的なため、同一箇所の繰返し測定が可能。
A測定時間が短く、結果が直ちに得られる。
B取扱いが簡単で個人誤差の介入がほとんどない。
C計器が比較的高価。
D故障など土工の現場計器としてひ弱な面がある。
(参考)
単位体積質量試験によって求められるのは土の乾燥密度で、これは土の全体積に対して土粒子だけの重さを考えたときの単位体積質量で、”締固めの程度”を表す量である。乾燥密度は、含水比によって異なるので、それぞれの含水比についての乾燥密度を求め、最大乾燥密度となる場合の含水比(最適含水比)を求めておき、最適含水比に基づいて施工含水比を定めることにより締固めの程度(締固め度)を高めることができる。
(4)ベーン試験
原位置で地盤のせん断強さを測定する試験の一種である。この試験ではベーンと呼ばれる十字の翼をロッドの先端に付けて地盤中に押込み、ベーンを回転させることによって土の粘着力Cを求める。粘着力は普通、軟らかい粘性土地盤等の軟弱地盤の調査に用いられ、また細粒土の斜面や基礎地盤の安定計算等にも用いられる。
(5)平板載荷試験
地表面に置かれた鋼製円盤に段階的に載荷重を加えていき、各荷重に対応する沈下量を測定して、これから地盤係数K値を求める試験である。この試験は主として道路の舗装の設計に必要な路床、路盤の地盤係数の測定に用いられるが、盛土の締固めの管理のための試験にも用いられる。
(6)現場CBR試験
現場CBR試験は、原位置の土のCBRを求めるものである。CBRとは、直径50±0.12mmの貫入ピストンを規定の深さに貫入させるときの所要荷重の、その貫入量における標準荷重に対する比をいい、これを百分率で表した値である。現場CBR試験の結果は、舗装厚さと構成を決定するための路床の設計CBRの決定や路床、盛土などの締固め度の管理などに利用される。
(7)現場透水試験
地盤に掘った井戸や孔などを用いて、透水係数を測定する試験である。現場では広範囲の地盤の透水性を測定するので、径が小さくしかも乱れのある試料で測定する室内の透水試験に比べて、信頼度の高い測定値が得られる。現場透水試験は、掘削工事、切土工事に伴う湧水量の算定、排水工法の検討、掘削工事などによる地下水低下、軟弱地盤対策工としての各種地盤改良工法の設計にも用いられる。
[3]土の試料採取
地盤に穴を開け、直接、試料を採取する方法にボーリングがある。ボーリングの目的には、次の2つがある。
@掘進して代表的試料を採取し、地盤の成層を知る。
A軟弱地盤などでの試料採取や孔内での原位置試験をする。
(1)ボーリング
ボーリングには、オーガボーリング、ロータリーボーリングがよく用いられ、このほか、深いボーリング法として岩盤専用のパーカッションボーリングがある。そのほか、軟らかい地層としてウォッシュボーリングがある。
(2)シンウォールサンプラー
乱さない(原位置の状態に近い)試料の採取の方法としてシンウォールサンプラーがある。これはボーリング孔を利用して、サンプラー(試料の採取器)を圧入して採取する。したがって、軟らかい粘土層や、軟弱層でないと圧入できない。採取された試料は、土質試験により土の強さ、透水性などが調べられる。
| 分類 | サンプラーの名称 | 適応土質 |
| シンウォールサンプラー(ピストン式) | 固定ピストンサンプラー |
軟弱な粘性土。 N値0〜4 |
| フリーピストンサンプラー | ||
| 水圧式サンプラー | ||
| 追切りサンプラー | ||
| シンウォールサンプラー(ピストンレス) | オープンドライブサンプラー | |
| 二重管式サンプラー | コンポジットサンプラー(固定ピストン式) |
軟らかい粘性土。 |
| デニソン形サンプラー(ピストンレス) | やや硬い粘性土。 N値4〜20 |
[4]地盤変位の測定
地すべり地盤や軟弱地盤上の盛土などの施工中又は完成後において、圧密沈下や地盤のひずみなどにより地盤に変位を生じることがある。このような地盤の変化を測定する方法には、次のようなものがある。
| 方法 | 用途 |
| 変位ぐい | 主として、軟弱地盤や地すべり区域における地盤の表面の移動量を測定するために用いる。 |
| 伸縮計 | 地表面の2点間の相対変位を、杭とインバー線を介して5〜10倍に拡大し記録するもので自然傾斜、切土のり面、軟弱地盤における地表の2点間のひずみを測定するために用いられる。 |
| 地中ひずみ計 | ストレインゲージを張った、たわみ性管を地中に設置し、地中の地盤のひずみを測定するのに用いる。 |
| 水管式傾斜計 | 気泡の変位を読取り、地表面の微小な傾斜を測定するのに用いられる。 |
2.土質試験と試験結果の利用
[1]土質試験
土質試験には大別して、土の判別分類のための試験と、土の力学的性質を求める試験がある。
[2]土の判別分類のための試験と試験結果の利用
土の判別分類のための試験の目的は、土の物理的な性質を求めて、それぞれの土の持っている概略の性質を把握することである。
●土の判別分類のための試験
| 試験の名称 | 試験結果から求められるもの | 試験結果の利用 | |
| 土の基本的性質の試験 | 土の締固め度の算定 | ||
| 含水量の測定 | 含水比ω | ||
| 湿潤密度の測定 | 湿潤密度ρt 乾燥密度ρd |
||
| 土粒子の密度の測定 | 土粒子の密度Gs 間げき比e 飽和度Sr 空気間げき率va |
粒度試験、間げき比、飽和度、空気間げき率の計算 | |
| 相対密度の測定 | 最大間げき比Cmax 相対密度Dr |
自然状態の粗粒土の安定性の判定 | |
| 粒度試験 | 粒径加積曲線 | 粒度による土の分類 材料としての土の判定 |
|
| ふるい分析 | 有効径D10 | ||
| 沈降分析 | 均等係数Uc | ||
| コンシステンシー試験 | |||
| 液性限界の測定 | 液性限界ωL | 塑性図による細粒土の分類 | |
| 塑性限界の測定 | 塑性限界ωP 塑性指数IP |
自然状態の細粒土の安定性の判定 | |
(用語)間げき比は、土粒子の密度試験から求められ、土の飽和度、密度、圧密沈下などの計算に用いられる。
(用語)土のコンシステンシーとは、土の変形の難易の程度をいい、一般に外力による変形、流動に対する抵抗の度合をいう。土のコンシステンシーは、含水比に左右されるものである。
(1)含水比試験(含水量試験)
土の含水比試験は、土の性質の基本となっている含水量を求めるために行う。土の含水量とは、温度110℃の炉乾燥によって湿潤土中から除去される水分をいい、一般には含水比であらわす。
(土の含水比)
土中に含まれている水の質量と土の乾燥質量との比をいう。含水比は土構造物(盛土、堤防など)の設計・施工において施工条件を判断するのに用いられる。
(ポイント)
土の性質は中に含まれる水の量によって大きく変わるため、含水量を知ることは、土の工学的な判断をするうえに重要である。
(補足)
締固め試験などでは、乾燥密度と含水比の関係を求め、この関係曲線(締固め曲線)を用いて、締固め度の重要な判定基準にしている。
(2)土粒子の密度試験
土粒子の密度試験は、土塊の骨組みを作っている土粒子群の平均的な密度を求めるものである。土の基本的性質である間げき比、飽和度あるいは乾燥密度などを知るのに必要であるばかりでなく、土の締固めの程度や有機質土における有機物含有量を求めるのに利用される。
(3)土の粒度試験
土の粒度試験は、土の粒度を求めるために行い、粒度とは、土中に含まれている種々の大きさの土粒子が土全体の中で占める割合の質量百分率をいう。粒度は粗粒土の判別分類、および土の工学的な性質の基礎的な判断として、透水係数の判定、軟弱な砂層の地震時の液状化の判定などに利用される。
(注意)
土粒子の密度とは、土粒子の質量と、それと同体積の水の質量との比である。土粒子の大小ごとの密度ではない。
[3]土の力学的性質を求める試験と試験結果の利用
●土の力学的性質を求める試験
| 試験の名称 | 試験結果から求められるもの | 試験結果の利用 |
| せん断試験 | 基礎、斜面、擁壁などの安定の計算 | |
| 直接せん断試験 | 内部摩擦角φ (せん断抵抗角) 粘着力c |
|
| 一軸圧縮試験 | 一軸圧縮強さqu |
細粒土の地盤の安定計算 |
| 粘着力c | ||
| 鋭敏比St | 細粒土の構造の判定 | |
| 三軸圧縮試験 | ||