さて、水木しげる御大、率いる妖怪お化けの連合軍、この度、講釈師・田辺一角の要請により、宇宙の平和を守るために結成されしもの、七重の調練を整えていざ出陣の時を待つばかりなりけり。
されば、その軍勢は如何なるものかと小手を払ってみてみれば、まず真っ先に采配とって進みし大将はこれぞ余人あらずして、世にも名高きゲゲゲの鬼太郎、遠く先祖を尋ぬれば幽霊一族、最後の生き残りにして、墓よりようようはいでた者なれど、水木しげるなる名軍師を得て、あらゆるメデイアに進出、大出世なし、いまは押しも押されぬ地獄極楽両所の別当職、宇宙の長者・太政大臣、征夷大将軍なり。(パパンパンパンパンパパン)
その鬼太郎が今日を晴れと「着飾る出で立ちは、白鳥の毛を以って編みたるナポレオン帽を頭上に蛾々と押し戴き、金モール七、八本両肩にあしらいたるが胸には数々の勲章を綺羅星の如く光らせたる豪華絢爛大礼服を一着なし、見るも凛々しき大将軍の姿にして、こわ!かつてやのまんより発売いたせし「妖怪花あそび豪華愛蔵版」に見るがごとき有様に異ならず、普段見慣れし学生服にチャンチャンコ、半パンツ姿の鬼太郎とはあまりにもこと代わり、そのご威光ぶりに妖怪連中「へえへえへへへへがへえ〜」とただただ恐れ入るばかりなり。
目玉のおやじが右手のかたと四方八方、眼光とうとう炯々と睨みを利かせれば、一反もめんが木綿の大旗、水木流しの紋所、旗印数十流れ、折から吹き来る向かい風にひらひらひらと靡かせるその有様は吉野立田の花紅葉、一時に燃え立つかと怪しまれ、みなそれぞれの定紋は桔梗、枝菊、藤の丸、四つ石畳、芦の葉、五枚笹、源氏車に三蓋菱、九菱、九曜、鶴の丸、立浪、巴。三蓋松、牡丹、酢漿、抱き茗荷、中黒、八重桔梗、重ね扇に三つ柏、いくらやっても拍手がないのでやめますが、これは古典の紋尽くし、サービスの味付けとしていれてみました。
ねずみ男がちょろちょろと全軍まわりて指揮を伝える、砂かけばばあが振り撒き見せる幸せの砂に、オスナオスナと両手だし、児啼き爺が赤子の泣き声、まず奇声を上げれば白粉婆、泣き婆、納戸婆、古庫裏婆、小池婆、火消婆、鍛冶媼、鏡爺に百合爺、海女房、青女房、ねこ娘、小豆洗い、小豆とぎ、小豆はかり、火間虫入道、火牟波理入道、輪入道、一つ目入道、一目入道、折りたたみ入道、天井なめ、あかなめ、飛頭蛮、のびあがり、さがり、釣瓶落としに大かむろ達、まず先陣を承ったり。(今度は大拍手ありがとう)
色が変わりて、ガラッパ、カシャポ、ぬっぺらぼう、キジムナー、ナンジャモンジャ、がしゃどくろ、ペナンガラン、コケカキイキイ、大太法師、イジャロコロガシ、タランチュラ、バックベアード、シーモンスター、らヨーロッパからも馳せ参じれば、ウワーグワーマジムン、マジムンとは沖縄言語で妖怪のことなり、ノッコ、ガータロ、マヨイガ、ニッタラサンペ、コーポルト、コロポックル、一本ダララと続きたり
(難しいところがよく言えた、まだまだ長いので安心してはいられない)
綱切り、黒髪切り、毛羽毛現、手の目、百目、一目連、目目連、海坊主、岩魚坊主、蟹坊主、高坊主、白坊主、黒坊主、土用坊主、ら経文でリズムをとれば、日和坊、泥田坊、野寺坊、貝吹坊、伐木坊、小雨坊、白山坊、やにやに坊、ぬるぬる坊、のっぺら坊、泥棒〜、泥棒などという妖怪仲間に不埒な坊はいませんが坊の一族、ボーとしているにはあらずして、コーラスつくりて声上げ唱和、一旦緩急、事にいどめばみっちり敵をコーラス気ならずやとこそ覚えたり。
皿小僧、提灯小僧、袖引小僧、後追い小僧、岸崖小僧、豆腐小僧、浪小僧、海小僧、雨降り小僧、一つ目小僧、三つ目小僧と小僧連隊、ここにいるぞう、強いぞう、習わぬ経まで今日は読むぞう、エイエイオーと雄たけびあげれば、海座頭、たんころりん、すねこすり、オケツ、おとろし、いそがし、べとべとさん、お歯黒べったり、産女、山女、磯女、濡れ女、嘗女、二口女、大口女、口裂け女、針女、雪女、影女、高安とミス妖怪たち、ケンを競って全軍を叱咤すれば、これをこれを押えて次第高、みれば見るほど高くなるお化けのようなお化けなり、一騎にして千に当たらん豪の者、これ中軍の大将にして敵も味方もただただ驚くばかりなり。
(パパンパパン)
川姫、川熊、川赤子、河童、鉄鼠、天狐、水虎、姑獲鳥、石見の牛鬼、妖怪獣、鵺、獏、狒に赤舌、土蜘蛛、八岐大蛇、板鬼、栄螺鬼、手洗鬼、三吉鬼、縊鬼、小鬼、陰摩羅鬼、百々目鬼、天邪鬼、木の葉天狗、烏天狗、大天狗、小天狗は天狗火焚きて天狗囃子で指揮煽るなり。
うわん、バタバタ、せこ、畳叩き、木霊、やまびこ、片輪車、おぼろ車、送り拍子木、虚空太鼓、家鳴り、震震と音出す妖怪、ここに集えば百雷一時に落ちるかと怪しまれたり。
幣天、幣六、禅釜尚、井守、家守、山童、白溶裔、塗壁、塗仏、空木返し、枕返し、油返し、化け草履、頬撫、古杣、古椿、いやみ、さとり、かぶそ、てっち、しょうけら、おいがかり、煙煙羅、へんらへらへら、ぬらりひょん、向こうに釣瓶火、じゃんじゃん火、天火、燐火、姥火、不知火、舟幽霊、舞首、大首、人首、人魂、死神、亡者は心優しきもの、座敷童子、山神楽、海月の精、山精、芭蕉の精、田の神、ほうき神、貧乏神、うしろ神、日照り神、山神、水神、金神、八将神と神のセットはすべて後陣の備えなり。
百鬼夜行か異形、異界が闇に蠢き、跳梁跋扈と物の怪、もののけ、妖怪通る。お化け・妖怪。連合軍勢揃いの一席でした。




2004年12月杉浦氏と江戸東京博物館で開催された
水木しげる展で公演された、田辺一鶴師匠の講談が
あまりにおもしろかったので、その時のぱんふから。