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忘れられない記憶たちがいます。 彼等は大抵なんであんなことしたんだろうという、自分の未熟さから出たものだけれど。 時々その一つを思い出しては、頭の中で真っ赤になっている自分がいて、 心の中でごめんなさいと何度も唱えている自分がいます。 きっとみんなそういうことはあるのだろうし、 彼等は自分が成長するためには、忘れてはいけないものなのでしょうね。 それでも彼等を忘れたい。僕の中から出ていって欲しいと願ってしまう。 だから彼等の一つを書かせてください。 …。 |
| 森唎 |
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あなたからの手紙を読みました。
そしてもっとあなたの記憶を聴いてみたくなって手紙を出しました。
何で住所がわかったのかとか、私は誰とか聞かないでください。
あなただって似たようなことをしているのですから。
いえあなたのことを責めているわけはありませんよ。
同封した封筒に手紙を入れて投函していただければ私の元に届くようになっています。
宛先はいりません。 それではお待ちしています。 |
| 聖 |
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小学生の低学年のことです。 あの頃って虫とか小ちゃい生き物も遊び道具にしちゃうもんでしょ。 僕もそれをしたことあるんだけど、 その後親にそのことおもしろかったって話したらひどく怒られてね。 ちょっと忘れたい記憶かな。 だから今でも虫さんに会うとごめんなさいといってます。 でも蚊とかゴキさんとか殺してますけどね。(笑) |
| 森唎 |
| P.S.あなたのことも教えてください。 |
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小学生低学年…。 おじいちゃんの家に遊びに行ったとき、倉庫で遊んでてね、古いレコードを見つけたの。 で、引っ張り出してきて動かしてみたんだけど…。 レコード針を置いた途端に、辺り一面草原になって、一人の女の子が音楽に合わせて踊って遊んでるの。 私も一緒になって踊って遊ぶんだけど、その女の子知ってるような気がしてしかたなかったの。 それで音楽が終わるとおじいちゃんの家の中に戻ってた。 後でね、仏壇のおばあちゃんの写真見たとき、あって思ったの。 その女の子の面影があったから。 もう一度会おう、会って何か話をしようって、レコードかけたけどだめだった。 そのレコードは今も大事に倉庫で眠ってるけどね。 |
| 聖 |
| P.S.そのレコードの曲名なんだと思う? |
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今回はこの文通を始める少し前のこと。 ある本を探していて、本棚中を調べまわっていたら、昔の日記が出てきたんだ。 今はつけてないけど。 というか例えば自分が死んで、日記がでてきてそれを誰かが読んでしまうと考えたら書けなくなったんだけど。 だって読まれることを考えて書くと自分の気持ち全ては書けないし、それだったら日記なんてつける意味ないかなと思って。 文章に残すよりは、僕の身勝手な記憶の中に残しておくほうがいい気がしてたから。 で、話を戻すと、その日記の中に何も考えない無邪気な頃の自分がいて、なんだかとっても微笑ましくなってきちゃって…。 無邪気な子どもって見ているだけで幸せだよね。 |
| 森唎 |
| P.S.今回は記憶より、日記を書かない理由の方が長くなっちゃってゴメンなさい。 |
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この文通を始める少し前のことね。 今回は私の一番忘れたい記憶かも。 ある夜そらを見上げていた私は、車にひかれてしまったの。 なんで見上げてたかっていうとね。…。ゴメン、書けないや。 別に見通しが悪い道路だったわけでもないのだけど、道路の真中でぼーとしていた私も悪いのかもね。 だからそれで文通が始まったの。これで最後の手紙だよ。 |
| 聖 |
| P.S.今までありがと。 |
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