宇宙(そら)のどこかで・・・
昔の作品なんです。(^^;
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RALUS
「もう消えちゃったよ、ラルス。」
そう言われて僕は走るのを止めた。そして、とぼとぼとニコルの方へ歩き始めた。
「また失敗しちゃったよ。これで3回目かな?」
「へーきだよ。まだ11時だ。時間はたくさんある。」
ニコルは一つ伸びをして、「がんばろ!」と言ってシートに寝転がる。
「君に付き合ってもらってるのに、なんだか悪くて・・・。」
僕もニコルの隣に寝転がった。
「ラルスは人に気を使いすぎるよ。僕だって星を捕まえてみたくて、好きでここにいるんだから。」
ニコルの言葉は宇宙(そら)の中に消えていく。
そういえばニコルが自分のことを「僕」言い始めたのはいつごろだっけ?
いつのまにか慣れちゃったな。
突然髪をばっさり切って、男みたいなかっこうして、学生寮に入ってきた時はびっくりしたけど。
「っん、どうした? そんな顔して・・・。」
ニコルの声で我に返る。そしてとっさに誤魔化した。
「だって、そんなこと言われたって・・・。」
僕がそう言ってニコルの方を振り向くと、ニコルも僕の方を見ていた。
「ごめん。ラルスがそういう性格なのって、親父さんのせいだもんね。直せって言われてもね。無理か・・・。」
ニコルは再び宇宙を見る。
「それにしても今日晴れて良かったね。」
話題を変えたくてそう切り出した。
「そうだね。雲一つないっていうか、こらなら明け方まで流星群を見るチャンスありそうだし。」
「あっ。」
僕とニコルは網を持って走り出す。
「今度こそ」
事前に打ち合わせせたとおり、挟み撃ちを仕掛ける。
「今度のは近くに落ちるぞ。チャンスだ。」
ニコルの網と、僕の網が空中でぶつかった。
「中は?」
僕は興奮して叫ぶ。
「入ってるよ。でも真っ黒だよ。光が消えかかってる。」
ニコルの手には黒ずんだ星があった。
「やった。やった。これでお父さんと連絡が取れる!」
また僕は叫んでしまった。でもこれでお父さんが取れるのだ。
10年ぶりに会えるかもしれないんだ。
星は煙の吸い過ぎだった。そのため「すす」が表面についてしまって、酸素を吸収できず力つきて落ちてしまったのだ。
でも表面についている「すす」を落とせばいい。
僕とニコルはタオルで星を磨いてやる。星は磨いたところから輝き始めた。
「ラルス、もう手紙は書いてあるの?」
「うん、これ。」
僕は手紙をポケットから取り出す。
「じゃあ、縛ろう。」
星に手紙を縛り付け、僕は祈る。お父さんに届くように。
そして宇宙に向かって投げた。
星は一旦、天頂に上がると、再び流星となって流れていった。
「あとは返事がくるかどうか待つだけだね。」
ニコルはまたシートに寝転がる。今度はシュラフにくるまって。
「ラルスも入りなよ。」
そう言ってシュラフの口を広げる。僕はニコルの隣に潜り込んだ。
「ラルスの親父さんって、流星の使い方知ってるのかなぁ。」
「もしかしたら星使わずに、普通の手紙でくるかもね。それよりせっかく取った星を僕のためだけに使っちゃって・・・。」
「そんなこと、気にしないくていいよ。」
そんな会話をしながら宇宙を見ているうちに、僕は眠ってしまったらしい。ニコルの体が暖かくて、気持ち良くて・・・。
NIKOL
ラルスは眠ってしまったらしい。僕はラルスを起こさないように、シュラフから抜け出す。
「あっ。」
思わず声を出してしまった。流星が戻ってきたのだ。
ラルスが寝たままのを確認して、僕は流星の落ちた場所に向かった。なんで・・・。
星についている手紙は、ラルスが書いたものだった。
もしかして・・・。ラルスの親父さんは死んでしまっているとか。
10年前にラルスに「もうおまえの面倒を見るのはたくさんだ。」と言って姿を消してしまった親父さん。
ラルスはそれ以来極端に人に気を使うようになってしまったし。
「あっ、僕寝ちゃったんだ。」
ラルスが目を覚ました。
「お、おはよう。ラルス。」
「おはよ、ニコルはずっと起きてたの?」
ごめん、ラルス。そう思いながら、僕はポケットに手紙と星をこっそりしまった。
「うん、起きてた。でも親父さんからの星はなかったよ。きっとラルスの親父さん、星の使い方知らなかったんだね。」
ラルスががっかりしたように首をたれた。その瞬間にラルスが叫んだ。
「宇宙が消えてく。すごいよ、ニコル。」
ラルスは僕の後ろの方を指差していた。
振り向くと、まるでカーテンを開くような感じで、空が宇宙にかぶさっていった。
「僕こんなの見るの初めてだ。」
そう言ってラルスの方を振り向こうとしたら、いつのまにかラルスが横にいた。
「そろそろ帰ろっか?」
ラルスはにこやかに言ったけど、声に元気はなかった。
「そうしよ。」
僕はラルスの背中を「ポン」とたたいた。
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