I turned around to find them waiting  ーJUNEー


  1

 僕はこの時期が嫌いだった。みんなに取り残された気分になるのだ。新しい世界への不安も混じって、押し潰されそうになる。
 でも誰かと連絡を取る気にはなれない。取ってしまったら、自分の精神的弱さを認めてしまうことになってしまうし・・・。どうしようもない自分がいるのだ。3年前と同じように。
 そして5ヶ月。


  2

 世間は夏休みに入っていた。僕もだが・・・。
「すでになつかしー。」
 最後にやってきた綾の第一声がこうだった。
 僕らは夏休みを利用して会うことにした。まあ、夏休みなんてない人もいたけど。
「みんなあんまり変わってないのに、すごく変わったようにも思える。なんだろ、まだまだガキだってわかってるのに、急に大人になったみたいな・・・。」
 渉が3人を見渡しながら、不思議なことを言った。
「みんな、5ヶ月の知らないみんなをかぶってるから・・・。で、みんなどうしてるの?」
 綾の質問にまずは渉が答える。 「どうかなー。あいかわらず自分のやりたいことわかってないし・・・。でも楽しいよ。今はなんでもかんでもがむしゃらにやってみようって思ってるから。」
「がむしゃらにって何かやってのか?」
と、巧が切り返すと、“航空サークルとか、資格を取るゼミ取ったりとか・・・”と答える。そうそう渉は無事大学に合格した。情報関係の大学らしい。それにしても航空って以外な感じがする。
「ところで、巧は?」
「久しぶりに会って、近況報告ってばかばかしいな。」
 僕の質問になんとも巧らしい答えを返してきた。
「ごまかさずに!」
 綾がちょっと怒ったような顔して叫んでいる。でも渉も僕もはじめからそう言われる事がわかっていたかのように、ただ笑っていた。ついでに巧もしてやったりという笑みを浮かべた。
「バイトしながら専門通ってるけど・・・。結構バイトが忙しい。あ、そうそう親とも話し合ったんだけど、まだ家出てないんだ。“もう少し家にいてくれだって。”親って何と言うか・・・。ま、金もないから助かるし。」
 巧が少し顔を赤らめて言う。巧が自分の家のことを話すなんて珍しい。
「親孝行してるじゃん。」
 綾がからかい返すように、笑みを浮かべながら言う。そして巧は“やり返された”っていう顔しながら言う。
「まぁ、そうかもしれない・・・。今はお金ためてヨーロッパに勉強しに行きたいって思ってる。」
「すごーいね。」
 綾が驚嘆する。正直言って自分が大学生になって以来、自分が思ってるようには成長していないし、ありきたりの学生生活を送ってしまっている。だから夢を持ってがんばってる巧には、勝手に期待してしまっている。そんなこと巧は迷惑だろうし、普通と違う生活ってそれだけで難しいんだろうけど、やっぱり巧はすごいね。
「そう言う綾はどうなんだよ?」
 巧は“やり返された”ことに仕返ししたいらしくて、急に綾に振った。
「楽しいよ、だって自分の好きなことだもん。それなりの友達もできたし・・・。」
 綾の友達ってあんまり考えられないな・・・。これって僕だけなのかな。
「おーい、淳。考え事してないで、淳の番だよ。」
 ふと、気が付くと自分に話が振られていた。何を話したらいいのか・・・。自分のことが一番わからない。
「そこそこだよ。でもみんなが言ってるようには楽しく・・・。理由わかってるんだけど、なおせなくて。」
 それが正直な気持ちだった。理由か・・・、前からわかっていた。友達づきあいを始めるのが苦手だということ、始めてしまえば楽なのだけど。3年前と同じだよ・・・。
「おまえのことだから、友達づきあいも表面上で一歩下がって冷静に見てるんだろ。」
と、渉が言うと、綾も
「そんなことじゃ冷たいと思われちゃうよ。私らは淳のそこがいいとこだって知ってるけど、何も知らない人にはつらいよ。」
「だからさ、それをふっきりたくてまた何かしたいなって。なんかうちらでやってたことが忘れられなくって、前のほうが面白かったなってなっちゃうんだよね。だから最後に面白いことをやれば、ここを超えて前に進めるかなって。」
「やーん。かわいー。淳が弱気になってる。」
 綾がそう言って、僕の髪をくしゃくしゃなでてきた。
「悪かったなー。人付き合い始めるの苦手なんだよ。始まっちゃえば楽だけど・・・。自分でも理由わかってるのに・・・。」
「そっか、じゃ淳君のために何かやりますか。」
 渉が少し笑いながら言う。そしたら巧が、
「んーじゃまずあそこ行こ。」
と、歩き出した。綾が不思議がって、
「あそこって?」
 巧はそのまま黙ったまま、コンビニに向かった。3人は後からただついていく。 「ハナビ、ハナビ。センコウ、センコウ。そして、チャッカマン。」
 巧が手に取るものを見ていたら、何をするのかわかってきた。相変わらずだ。渉と綾も気付いたようで笑っていた。
「じゃ、淳の大学でも行こっか。自宅通学だからそんなに遠くないよね。」


  3

「へー、夏休みなのにちゃんとあいてるんだ。」
「大学って広いねー。楽しそーだな。」
 専門の巧と綾が感嘆の声をあげている。
「淳がまだ周ったことのないところってある?」
 一人冷静な渉が聞いてきた。
「あるよ。だって広くて周れないよ。」
「じゃ、やるか。」
 一同花火を取り出して、にやりと笑う。

 あ、このへんいいね。じゃ、2時間ぐらい後にと
「うちらって、やってることかわらないね。」
「そーそー、てんで成長してないよね。」
 ここは1時間半で
  1時間
  40分
  20分
「そろそろ学校出よ。警備員が動き出すから。」
 ちょうど校門を出たところで、一つ目が鳴り出した。
「あー慌ててる、慌ててる。本当うちらってやな奴だよ。」
「これでつらかった学校も爆発、後は淳しだいかな。」
 渉がそう言うと、綾が、
「そのセリフずっと考えてたでしょ。」
 みんな笑い出す。おっと校門の向こうで警備員がにらんでる。まさか・・・。
「どっもね。なんかすっきりした。」

ー今度から何か新しいこと考えないとー
ーよし、成長するかー


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