書評 は行
東野圭吾
●白夜行
公園の向こうに七階立てのビルが見える。一見したところ何の変哲もないビル
だが、実のところ、中は殆どがらんどうの状態。ビルの中にはダクトが走り回
っていて、近隣の子供達には格好の遊び場である。
ある日一人の少年がダクトの中を進んでいた。ダクトを通り抜け部屋へと入り
込んだ彼の目に突如飛び込んだ忌まわしき光景とは...
月刊誌に連載されたという性質上仕方の無いことかもしれないが、場面展開、
特に話者がコロコロと変わるのが気になった。章が変わり、少し年月が進んで
話者が変わってしまうと、元の雰囲気を取り戻すのに少し時間がかかった。ま
た、登場人物の多さも気になった。「○○はふとこう考えた。」と言って新た
な人物が語り始めるのは止めて欲しい。
真の主人公、ヒロインに語らせることが出来ない性質の物語であるため、とは
いえもう少し工夫が欲しかった。
純白のヒロインが黒に限りなく近い灰色であることを、読者に畳み掛ける下り
は素晴らしい。結末がもう少しうまく決めることが出来れば、よりよい作品に
なり得たはずだ。そこが残念な点。この結末では、すべてが推測の域を出ない
のでは無かろうか。