「自分の感受性くらい」    茨木 のり子

ぱさぱさに乾いてゆく心を ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを 友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのは どちらなのか

苛立つのを 近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのは わたくし

初心消えかかるのを 暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を 時代のせいにはするな
わずかに光る 尊厳の放棄

自分の感受性くらい 自分で守れ

  ばかものよ

 

 ―――メガネの平和晃より―――

自分から声をかけた
自分から頭をさげた
自分から笑った

自分から始めたら
相手が近くにきて
ありがとうといってくれた
うれしかった

 

 

 ―――メガネの平和晃より―――

メガネをかえたら
世の中の不公平
他人の不満
自分の不足ばかり
見ていた自分に
気づいた