遠まわし

「いまごろ ポケベルですか?」
「なんかね 基本料金なしなんだって 携帯持つほどじゃないし
 携帯でもMAILしかやってない人がいるでしょ だから ポケベルでも
 いいかなっと思って」
「そうっすか〜 では 僕これで帰ります お先に失礼します」
「おつかれさま」
今日は 月に1回だけの土曜出勤日だった。
「さてと 私も帰ろうかな」
仕事場から どこにも寄らずに家へと帰った。

 午後9時 少し部屋の中でくつろいでいる時 ポケベルが鳴った。
ピッーピッー
メッセージを見ると『シヨウ』これだけ・・・
気味が悪かった。
最近 流行りのストーカーとも思えるメッセージであった。
もしかしたら 同僚のイタズラかと思い 聞いてみるが
「そんなの知らないよ」
「なんか恨みでも持たれたんじゃない」と
誰もが 犯人とも思えない。
彼氏の『悟』に聞いても
「こんな意味不明な事 ポケベルに入れるかよ
 だいじょうぶか?誰かに恨まれているんじゃない?気よつけろよ」と
他人と同じような答えが返ってきた。

 そして まったく答えが出ないまま 1週間が過ぎた。
その間 妙な事はなく その事も忘れかけた頃 また 午後9時にポケベルが鳴った。
ピッーピッー
メッセージを見ると『CON』これだけ・・・
また 気味が悪くなり すぐさま 友人に電話したが
「俺は知らない」
「お前 だいじょうぶか?」など
恐怖心が 増すだけだった。
警察にも電話したが 
「なにか被害が会ってから出ないと こっちとしても動けないんで」と
まったく 助けにもならなかった。
それから 少しノイローゼ状態になり 仕事をしばらく休ませてもらった。

 そして 1週間が過ぎ 午後9時 予想どうりポケベルが鳴った。
ピッーピッー
メッセージを見ると『ケツ』これだけ・・・
恐怖を感じ 悟に電話したが 留守だった。
誰かに 助けを求めるように電話をした。
「もしもし 松本ですが」
「もしもし!!松本さん また 気味の悪いメッセージがポケベルに入ってきて・・・」
「また? でっ 今度は どんなメッセージ?」
「『ケツ』だけなの・・・」
「『ケツ』だけ・・・あははっ ちょっと おかしいね」
「笑いごとじゃないのよ・・・ 私 どうすればよいのか・・・」
「ゴメン ゴメン 今回は『ケツ』で 最初は なんだっけ?」
「最初は『シヨウ』で 次が『CON』」
「そう・・・・・・
 あっ・・・ちょっとまって 
 その英語をこうやって 三回目のからこう読めば こういう意味じゃない?」
「えっ・・・ 嘘・・・」
涙が止まらなくなった。
恐怖ではなく 喜びや嬉しさであった。

 ピンポーン
家のインターホンが鳴った。
「おれ・・・ 悟だけど」
すぐさま ドアを開け 彼に抱きついた。
「すごく怖かった でも すごく嬉しかった」
「ごめんな」



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