小林研一郎 in ブタペスト




10月5日、ブタペスト・ハンガリー科学アカデミー大ホールで珍しい音楽会があった。

国立フィルハーモニー、ハンガリー日本商工会の主催で行われた『小林研一郎・第1回国際指揮者コンクール優勝・30周年記念音楽会』である。

ハンガリーテレビの主催した第1回国際指揮者コンクール(1974年)で、彼が優勝してから今年が30周年にあたるので、それを記念して行われたもの。

記念演奏会は小林氏と関わりのある演奏家、団体が祝意をこめて次々と演奏を披露した。


▽最初の演奏は国立フィルハーモニーの団員の演奏。
・弦楽四重奏の『ハッピバースデー変奏曲』
・同フィルの常任指揮者でピアニストのコシ・ゾルタンと管楽器によるベートーベンのピアノ五重奏。

▽ハンガリーで学び、活躍している日本人音楽家の演奏。
・関野直樹のリスト『ハンガリーラプソディNO19』
・マヤ減額四重奏団=浅野美希、寺岡エリカとハンガリー人2人=の弦楽四重奏。
日本の歌『通りゃんせ、サクラ、赤とんぼ、春』

▽ハンガリー国立合唱団=日本で多くの演奏旅行、小林研一郎とも競演。モーツアルト『レクイエム』

▽ハンガリーラジオ児童合唱団 バルトーク、コダーイの作品のあと『夏の思い出』を日本語で合唱。懐かしさで目頭が熱くなった。

演奏のあと小林がピアノに向かって即興の指揮者。
『はるかなー尾瀬――――』最後の部分に強弱をつけ、長がーく余韻を持たせると、普段聞き慣れていたはずの曲が全く違った曲となって聞こえてきた。感激、マタマタ涙。

▽ハンガリー日本人補習学校校歌は小林研一郎の作曲。
同校の酒井先生と児童合唱団で演奏された。

▽小林研一郎14歳で作詞・作曲した『藤棚の下に』が小林のピアノ伴奏、酒井さん独唱で披露された。


当日は挨拶した関係者、演奏形から様々な挨拶、祝意が述べられた。

小林研一郎は『ハンガリーでもっとも有名な日本人』である。
彼の指揮は原曲を忠実に再現する監督者ではなく、観客と一体となって曲の解釈と思いを表現するのである。
彼の功績は『ハンガリー国民にクラシックファンを増やし、音楽を通してハンガリー人に喜びを与えた』(社会主義時代の暗い社会に音楽を通してハンガリー人に希望を与えた)
関野直樹は、小林研一郎と話す機会があった際、次の言葉をもらった。
『音楽家、演奏家としてのオーラを持ちなさい』
彼はその言葉を今必死で捜し求めている。

小林研一郎は最後の挨拶で、
『光はブタペストからやってきた。世界に羽ばたけたのはコンクールに優勝したおかげだ。』
彼は一夜にしてハンガリーの英雄になったのである。

音楽家小林研一郎の一端に触れるよい機会であった。



さて、この演奏会に先立って10月1日、リスト音楽院で小林研一郎の指揮で国立フィルの定期演奏会があった。
友人に頼んで何とか入場券を手に入れることができた。入場料金は3500HUF(日本円で2000円弱)

【曲目】
・リスト ピアノ協奏曲第1番変ホ長調 
・ピアノ独奏 コシ・ゾルタン=国立フィルの常任指揮者。ハンガリーでは3本の指に入るピアニスト
・チャイコフスキー 交響曲第5番ホ短調

− アンコール −
ロンドンデリーの歌
ブラームス ハンガリー舞曲 2番
ブラームス ハンガリー舞曲 5番


  10月11日
国立オペラ劇場で 小林研一郎の指揮するブタペストフィルハーモニー交響楽団の演奏会があった。絶望と思っていた入場券(6,900HUF)を運よく入手できた。

【曲目】
ドボルザーク 交響曲第8番
オペラ序曲 グリンカ『ルスランとリュドミラ』
ロッシーニ『ウイリアム・テル』
ベルディ『運命の力』
ワグナー『ニュルンベルグのマイスタージンガー』

−アンコール−
ブラームス『ハンガリー狂詩曲5番』
   

小林研一郎の人気はすごい。普段満席になることは珍しい3階も席のない観客がいっぱい詰め掛けていた。
座席は左サイド3番目のボックス席。小林研一郎を左側から見られる位置。距離約5メーター。飛び散る汗が見え、口すさむメロディーも聞こえるほどの近距離。



1)夜の オペラ座

2)オペラ座 観客席

3)残念ながら演奏会中は写真撮影できませんので、開演前の様子です。