予備校時代のかけらたち


 

高校3年の時、大学受験に失敗し、その後1年間地元の予備校に通っていました。

この、予備校時代で大きかったのは、ある友人との再会です。

大好きなSimon&Gerfunkelを教えてくれたのもその友人でした。

そして毎日のように屋上や食堂で語り合い、ちょっとした事件をおこしてきました。

ここには主にその友人とのやりとりについて記されています。

 

 

 

 

夕方、屋上で

 

<ねえ、あの建物なんだろう?>

<遠くてよくわかんないね。

丘の上に立っているように見えるけど>

<あの形といい、白さといい、何かに似てない?>

<ああ、ギリシャにあるあれね>

<ねえ>

<なあに>

<これからはあの建物をパルテノンって呼ぼうよ

( コレハ ワタシタチノ ササヤカナヒミツ )>

<パルテノンか・・・!いいね、そうしようよ!

( アノタテモノハ フタリダケノ パルテノン )>

 

遠くかすんだパルテノン

次の日には 消えてそうな気がした

 

(7月ごろ)

2人の会話を色分けしてみました。結局、このパルテノンはいったい何の建物であるか、今でもわかりません。「こういうことは知らないほうがいい」、ということで、私達はあえてつきとめなかったのです。

 

 

 

Letter

 

伝えたいことがたくさんあるのに

うまく言葉にできなくて

書いても、書いても、書ききれなくて

結局破いてしまう

でも今わかったの

伝えられなくても

うまく言葉にできなくても

通じる気持ちがあるのだと......

 

Letter Part2

 

気持ちだけでは 誤解を生み出してしまうもの

言葉にしないと 伝わらないこともあるんだよ

口にしてない 僕の思いがわかるかい?

偽りだらけの言葉にも 隠れた真実が必ずある

書き綴ろう 手紙に 言葉つきるまで

書き綴ろう 相手に 気持ち伝わるまで

 

(8月ごろ)

友人のLetterに対する返事が、私のLetterPart2です。この頃はよく「黙ってても気持ちは通じる」 VS「やっぱり言わなきゃわかんない」ということについて議論していました。

 

 

 

あいつの性格

 

あいつはどうしようもない性格だよ

ルーズで

自分勝手で

やかましくて

ずうずうしくて

全部挙げればきりがない

でも、これらみんなが

あいつのいいところの裏返しだということも

僕は知っている

 

(11月ごろ)

友人は受験の面接の時、「長所はなんですか」と聞かれて「物事にこだわらないところです」と答え、「短所はなんですか」と聞かれた時は「ルーズなところです」と答えたそうです。そして面接官が一言、「じゃあ同じなんですね」と笑っていた・・・そういう話を元に作った詩です。

 

 

 

Fairy Tales よ もう一度

 

おとなを憎み

いつまでも こどもでありつづけようと

誓い合った あの日

 

時は流れ

二人は再び出会った

懐かしい声 変わらぬ笑顔

 

いろんな人がいたよ

君が言っていたように 世間は

汚いおとなであふれていたよ

僕は何回失望したか

 

でもほめてくれ 僕はめげなかったよ

あんなおとなにならないように

今の心を大切にして

ずっと新鮮な気持ちでいられれば

それでいいんじゃないかって

 

そこには

さわやかな笑顔

それと

静かな微笑み

 

・・・・・・まわりのおとなと時間が

君を そうさせてしまったんだんね

 

そして遠く去っていったのは

悲しい微笑み

そして

もう聞くことのない Fairy Tales

 

(11月ごろ)

これは特に友人とのことをいっているわけではありません(友人が実際に言った言葉は用いられていますが)。久々の「VSおとな」の詩ですが、予備校時代、友人と二人で「ライ麦畑でつかまえて」を熱中して読んでいたことが思い出されます。この時、主人公にとても共感して、本にたくさん線を引いていたものです。そして最近、再びこの本を読んでみたのですが、以前ほど共感できませんでした。なんだか寂しい気がします。

 

 

 

それでもなお

 

魂の再生を信じるかって?

人間、死んだらそれで終わりさ

現実逃避の言い訳に過ぎない

大切なのは今の自分今の瞬間

現在を精一杯生きるのが

人間としての役割じゃないか

「いつかまためぐりあう」

たかだか楽観的希望的観測

夢物語を信じる少女趣味

なのに、それでも願うのは

有限な人間ゆえの「永遠」の憧れ

 

真善美に憧れたかって?

そんなもの追及してどうする

現実を否定する言い訳に過ぎない

絶対化神聖化するのはいいけど

そればっかりにとらわれてたら

現実の美しさを見逃してしまうよ

汚れることのない象徴への夢

求めてもその世界には入れなくても

鍵は誰もが持っている

やはり、そう願ってしまうのは

不完全な人間ゆえの「永遠」の憧れ

 

(12月ごろ)

一生懸命自分に言い聞かせているような感じを受けます。ちょうど友人から「自分で自分を縛り、視野を狭めている」と指摘された時でもあります。それに対する「認めよう・認めたくない」という葛藤が、この詩に表れたのでしょう。

 

 

 

合わせ鏡のような関係

 

ねえねえ私達ってさ 性格がまるで違うよね

 

いえてるいえてる それでもさ、

どこか通じるものがあるんだよね

 

きっと 合わせ鏡のような関係なんだよ

うつしてるものは同じだけど

違うところがうつっているんだよ

 

(12月ごろ)

授業をさぼって、食堂にいたときの会話です。言ったあと、二人して感動していました。私は感動のあまり、「今のをメモっとかなきゃ」と言いました。しかし、友人は「いや、言葉にしちゃうと感動が薄れちゃうから、心の中にとどめておこう」言いました。その時は「それもそうだ」と同意しましたが、やっぱり忘れたらもったいないなー・・・と思い、家に帰ってからすぐに書きとめました。・・・Nちゃん、ごめんよ。

 

 

 

贈る言葉

 

この短い間

語りあったり

バカなことをしたり

悩みを相談したり

一緒に泣いてくれたり

楽しかったことも

悲しかったことも

 

君がいて ほんとうによかった

 

(3月ごろ)

おそらく、私の詩の中で、いちばんわかりやすくて、ストレートなのはこれでしょう。

 

 

 

 

 

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