幽霊船を目指して

幽霊船を読むには基礎知識が必要です。E-Shipについてはコチラ



一体どうしてこんな事になってしまったのか。
気が付くと、会社の同僚達と自らのURLをかけてE-Shipをやることになっていた。

エロ皇帝のオヤジF川が、N氏の操を奪おうとしているのは周知の事実だった。チャットで男女の出会いを掴む、というのがE-Shipの謳い文句らしいが、それをF川は同性への口説き文句に使っていたようだ。その辺の詳細は直接彼らに聞いてみないとわからない。しかし、「オレは今度NさんとE-Shipをやるんだぜ……フフフ、フフ……」とF川が頬を赤らめていたのは忘れたくても忘れられない最悪の記憶のひとつだ。

「豪華客船でオレとランデブーと洒落込みませんか」と嬉々として話し掛ける彼の姿が目に浮かぶ。おぞましい話だ。ホモも最近ではかなりオープンな人種が多いのだろうか。

ところが一方のN氏はそんなF川の口説きを全く意に介しておらず、「君のような若造に僕の操が奪えるだなんて、本気で思っているのかい」とでも言うような余裕を常に漂わせていた。平和な人だ。

そんなある日、突然「このままではN氏の貞操が危うい」とM子が呟いた。

危ういのは誰しも薄々気が付いている所だ。しかし四六時中見張るというわけにもいかないし(所詮、男の操などその程度のものである)、笑って見守る程度が関の山……の、はずだった、M子が口を開くまでは。

「邪魔してやろうぜ、奴らのE-Shipをよう……」

じゅるり、とM子が口をぬぐった。




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