■男女参画法――進み具合を測ろう

 日本社会を変革する力となる可能性をもった法律が、また一つ成立した。

 特定非営利活動促進法(NPO法)、情報公開法に続く男女共同参画社会基本法である。

 それは、どんな社会なのか。

 「男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる社会」。審議の過程でつけ加えられた前文は、このように位置づけている。

 憲法がうたった個人の尊重や「法の下の平等」をいっそう定着させ、豊かで活力ある社会を築こうという法律である。

 雇用機会均等法が整備されるなど、男女平等をめざす政策は少しずつではあれ前進している。その後押しともなろう。

 基本法が打ち出した理念は明確だ。

 「男女とも個人としての人権が大切にされる」「性による役割分担を反映した現在の制度や慣行を中立的なものにしていく」「国や自治体、民間を問わず、政策の立案や決定は男女が一緒にする」「どのような活動も家庭生活との両立をめざす」

 問題は、それらをどう実現していくかである。基本法は、必要に応じて新たな立法や予算措置をとるよう求めている。政府や国会は宿題を負ったといえるだろう。

 国や地方自治体、国民それぞれが、男女共同参画社会を実現していく責務を負うことを明記した点を重視したい。

 総理府がまとめた男女共同参画白書が指摘しているように、日本では特に公的な分野で働く男女の比率に偏りが目立つ。

 定数にしめる女性の国会議員の割合は、参院の17%に対し、衆院では5%にとどまっている。国家公務員も課長クラスとなると、女性はわずか1%しかいない。

 政治や経済活動への女性の参加度を測る国連の指標(GEM)で、日本は1995年には27位だったのに、昨年は38位に後退した。国や自治体、企業は積極的な改善策をとる必要がある。政党も、議員や役員の一定数を女性に割り当てるクオータ制の導入を真剣に考えてはどうか。

 基本法の実効性を高めるため、独自の取り組みを始めた自治体もある。東京都や川崎市などは条例制定を検討している。

 注目したいのは、千葉県松戸市の男女共同参画プランと実績評価の進め方だ。

 2020年のあるべき市の姿を掲げ、目標に到達するための最重要課題と実施計画を市民とともにつくり上げた。どこまで実行できたかを5年ごとに見直す。その際には、住民の意識や実態を調べ、できるだけ客観的な評価を下すとしている。

 基本法は政府に対し、共同参画の進展状況を国会に報告するよう義務づけている。報告だけでなく、業績の評価が欠かせない。松戸市の方式は参考になろう。

 職場や学校、地域、家庭など幅広い分野で、共同参画への取り組みを進めたい。

 歌手、安室奈美恵さんの夫でダンサーのSAMさん父子をモデルに、厚生省が男性の育児参加を促すキャンペーンを始めたとき、一部から反発の声が上がった。「男は仕事、女は家庭」という役割分担の意識が、いかに根強いかを物語る。

 男女共同参画とは、単に女性が社会に進出するだけではない。男性が家事や育児、地域での活動などにかかわって、人生の多様な喜びを発見することでもある。

 法律を生かせるかどうかは、一人ひとりの意識改革にかかっている。 「asahi.com に掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。 すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています (著作権とリンク広告掲載についての説明ページへ)。
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