成田空港は78年に4000メートルの滑走路1本で開港した。当初はこれに平行した2500メートルの滑走路と横風用滑走路を作る計画だったが、横風用は5年前に凍結、今回、平行滑走路も当面の完成は無理と判断した。用地の中に住み続ける少数の反対派農民を説得できなかったためだ。
交渉は初期の強引な計画推進の深い傷を引きずってきた。反対派農民の不信感はこれからも容易なことでは解消しそうもない。もとをたどれば内陸に大規模空港を造る発想自体に無理があったとも言える。
一方その後、日本の国際航空需要は増え続けた。政府は関西新空港など全国に国際空港を造ったものの、各国航空会社の乗り入れ希望は成田に集中し、滑走路1本でやりくりする状態は明らかに限界に来ていた。現在、成田乗り入れを待機している国は33カ国にもなる。この間、政府は各国に2000年度までの成田の拡張を公約してきた。
問題はそれだけにとどまらない。国際便の不便さが続くことによって最も不利益を被るのは日本の国民だ。日本の航空会社も国際便の手足を縛られたままでは外国と十分な競争もできない。政府はこの際、国際空港整備の基本方針を根本に立ち返って検討し直すべきだ。
運輸省は未買収用地を避けた範囲に平行滑走路を縮小する案を考えているらしい。しかし、それと同時に羽田空港を再度、国際空港に利用する計画も検討する必要があるのではないか。成田の交渉が続いていた間は他の候補地への代替案はタブーになってきた。今後はその配慮も必要なくなる。羽田空港ではたまたま来年度に再拡張工事が完成する。
羽田を国際化するためには、おそらく現在は避けている離着陸機の東京上空空域の通過が必要になるだろう。新たな騒音問題が生まれるかもしれない。だが、空港整備にはいずれにせよそうした問題がつきまとう。今回の成田拡張断念は、過去の過ちがもたらしたじゅばくを断ち切り国際航空インフラを本格的に見直すチャンスと考えるべきである。
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