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最終更新時刻: 99/10/13 07:00

社説1 衆院定数削減は十分な審議尽くせ
社説2 トンネル新幹線の異常事態
春秋

 

社説1 衆院定数削減は十分な審議尽くせ

 自民、自由、公明3党は連立政権の発足にあたって衆院の比例代表定数を20削減することで合意した。3党はこのための法案を次期臨時国会の冒頭に成立させる構えをみせている。選挙制度の根幹にかかわる問題であり、数の力で押し切るのではなく、野党の声にも耳を傾けて審議を尽くすべきである。

 衆院の定数削減問題は自民党と自由党の連立の際に自由党が比例代表50削減を提示し、自民党が基本的に受け入れた経緯がある。公明党はこれに強く反対してきたが、3党連立に際して20削減で妥協が成立し、残り30の削減は2000年の国勢調査の結果を待ってさらに検討することに落ち着いた。残り30については事実上の先送りである。

 現行の衆院の総定数500については、同じ議院内閣制をとる英国、ドイツ、イタリアの下院と比べて決して多いわけではなく、人口比較で見ればむしろ日本の衆院の総定数は少ないとの主張がある。その一方で、政治が行政改革で率先垂範の姿勢を示すには国会議員の数を減らすのは当然だとの見解も有力である。

 自由党の主張はこうした見解に基づくものであり、一定の世論の支持を集めている。「国政の意思形成の中枢機関」とされる衆院の総定数はどの程度が適正なのかについて、さまざまな角度から国会の場で十分な審議を重ねてほしい。

 衆院の比例代表を20削減するなら、参院の定数も大幅に削減すべきである。今回の3党合意で参院の定数削減に触れていないのはおかしな話である。国会議員の数を減らすならまず参院から始めるべきだとする有力な主張もある。国会審議を通じて参院の定数削減についても明確な方向を出すよう求めたい。

 衆院の総定数は2000年の国勢調査の結果を待ってさらに30削減するとされたが、小選挙区を削減するか、比例代表を削減するかはあいまいにされている。30削減するなら、単純小選挙区制への移行も含め現行制度の抜本的な見直しも視野に入れた検討が必要である。

 選挙制度の問題では1票の価値の平等を確保することが最優先の課題だ。現行の小選挙区制は1票の格差が2倍を超える選挙区が相当数に上っている。2000年の国勢調査を待って真っ先に取り組むべきは1票の格差是正である。都道府県への小選挙区定数の配分は完全人口比例で行われることが大事である。


社説2 トンネル新幹線の異常事態

 JR山陽新幹線は「トンネル新幹線」と呼ばれる。全長554キロメートルのうち、実に半分はトンネルである。トンネルの安全性をいかに保つかが、山陽新幹線の保安管理のカギを握る。

 山陽新幹線でまたトンネル内のコンクリート落下事故が起きた。3連休初日の9日未明、山陽新幹線の北九州トンネル内で重さ約226キログラムのコンクリート塊が落ちているのを作業員が発見した。大事には至らなかったが、JR西日本は10時間近く山陽新幹線の一部運転を見合わせ、約6万人に影響が出た。

 事故について、JR西日本では、トンネルの側面にコンクリートを注ぎ込む際できる「打ち込み口」と呼ばれる突起部分が落下したもので、この工法を使ったのは全部で142カ所あるトンネルのうち8カ所に過ぎず、トンネル本体に問題があるわけではない、と見ている。

 だが今回の事故で見逃すことができないのは、同社が2カ月前に出した「安全宣言」を覆す形となったことだ。今年6月山陽新幹線の福岡トンネルで内壁が崩落する重大事故が起きた。JR西日本は1カ月かけ新幹線トンネルの総点検と補修工事を実施したうえ、「10-20年間は安全だ」と発表したばかりである。

 「強度のある打ち込み口が落下するとは想定外だった」とJR西日本は弁明する。しかし総点検に手抜かりがあったことは確かだ。同社は事故を重視し鉄道本部長を解任するなどの処分を発表した。

 山陽新幹線はJR西日本の旅客収入の41%を占めるドル箱路線だが、競合する航空路線と激しい旅客争奪戦を演じている。早すぎた「安全宣言」もそれと無縁ではあるまい。安全は旅客会社の最大の務めである。必要なら、山陽新幹線を止めてでも、安全点検を実施し、失われた乗客の信頼回復を図ってほしい。

 運輸省はJR西日本に対し、早急に原因を究明し再発防止策を立てるよう指示した。福岡トンネル事故を機に、コンクリート構造物の安全性が問題となっている。運輸省などの設置した検討委員会などが研究を進めているが、相次ぐ落下事故は材質の問題か、施工の手抜きか徹底した調査と十分な安全への提言を望む。


春秋

 女王も現場を視察した。ロンドンで5日起きた急行列車と普通列車の衝突事故が尾を引いている。死者は30人から40人の間のようだが、車両の炎上で正確な数が確定しない。直接の原因は普通列車の運転士の赤信号見落としと判明したが、民営化とからめた議論も盛んだ。

▼衝突した列車の運行会社が別々で、レールや信号などの管理会社の責任がこれにからむ。英国鉄民営化で誕生した民間会社が、利益確保に走るあまり安全投資などが犠牲になったのではという批判が出ている。詳しい調査の結果次第では会社の営業免許取り消し処分もあり得るという。他人事ではない。わが民営JRも大丈夫なのか、と思う。

▼惨事にこそならなかったが山陽新幹線トンネルで、またコンクリート塊落下事故があった。6月に落下事故があり、JR西日本が総点検して「安全宣言」を出したのはいったい何だったのか。乗客がストや順法闘争に悩まされた「国鉄」に戻せと言う人はいまいが、民営化しても安全は利益より優先されるべきだ。大原則が守られているのか。

▼「民営化以前」の問題も指摘される。高度成長期の山陽新幹線建設は工期に追い立てられた。拙速工事で安全が犠牲になったのではという見方だ。その検証も不十分なまま景気対策で政治家が整備新幹線の建設促進を叫んでいる。民営化後も鉄道の安全性を監督する役所や政治の責任は残る。監督される側もする側もネジがゆるんでいないか。

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