【情報大合併】
米国のメディア大手タイム・ワーナーとオンラインサービス最大手アメリカ・オンライン(AOL)の合併同意は、既成概念にとらわれず柔軟かつ大胆な発想と実行力で経営判断する米国流企業風土のパワーを改めて見せつけた。この経営マインドが情報先進国の本領であろう。日本も政策サイドでは規制撤廃を、企業は官に頼らない自助努力の徹底が求められる。
タイム・ワーナーは、しにせ出版のタイム社と映画など娯楽大手のワーナー社が合併した会社で、最近ではニュース専門のCNNを買収、CATV(ケーブルテレビ)部門にも進出し、テレビの三大ネットワークにも触手を伸ばす。AOLは八五年設立のベンチャー企業だ。日本や欧州に進出、約二千万の加入者向けに独自のコンテンツを提供しているのが特徴で、電子商取引部門にも強い関心を示している。
ニュース・映画・出版・テレビなど伝統的メディアと時代の最先端にあるインターネット情報企業の統合は、二十一世紀における情報や通信がどうあるべきかを示唆しているのではないか。世界のニュースがインターネットで瞬時に送信され、多様な通信インフラは高速大容量の双方向サービスを可能にし、地域電話も用途別に機能的なサービスを提供する。そこには従来型の業界の縦割り意識は通用しない。状況や目的によって企業間の離合集散が活発に行われることになるだろう。
日本も今年末からBS(放送衛星)デジタル放送が始まるなど本格的なデジタル時代を迎えるが、はたして米国のような環境にあるだろうか。情報関連というだけですべての官庁が縄張り意識から予算の取り合いをし、官による有形無形の規制は依然として根強く存在する。民間も徹底した企業間競争を避け、官に調整役を頼む依存体質から脱皮しきれていない。ベンチャー企業育成の必要性は強調されながら、投資する側は旧来の評価基準による尺度で新事業の将来性を判断しようとする。やや状況に変化がみえてきたとはいえ、このままでは日米の格差は拡大するばかりではないか。
ただ米国の動きにやや不安な点がなくもない。巨大資本によるメディアやネットの支配が、米国の伝統である言論や表現の自由になんらかの変化をもたらすことにならないか。メディアの多様性を確保することも重要といえよう。その辺りにデジタル革命の先行きを手放しで歓迎しきれない部分があることも否定できない。
不幸にも暴走が予期されるとき、未然に防ぐのはデジタル時代を享受するユーザーの冷徹な判断力だろう。