【新卒就職難】
今春の大学、高校などの卒業者の就職内定率が過去最低を記録した。日本経済に少し明るい兆しが見えてきたとはいえ、新卒者の雇用は依然、厳しい状況にある。就職の決まらなかった人はあせらず、自分の実力にさらに磨きをかけてほしい。
新卒者の内定率が落ち込んだ最大の要因は、バブル崩壊に伴う日本経済の低迷にあることはいうまでもない。しかし、若者の就職難は、再就職したくてもできない中高年の失業者とは、かなり事情が違っている。
大学生の場合、「一流企業に入れば何とかなる」というブランド志向が依然強く、学歴でなく真の実力と意欲をもつ人材をえりすぐって採りたい企業側とのミスマッチも多いという。新規採用後の三年間で、中卒の七割、高卒の五割、大卒の三割が辞める“七五三”といわれる若者の離職傾向も、企業の採用担当者を悩ませている。
二十一世紀の国際的な大競争社会のなかで、今の一流企業がいつまでも存続するとは限らない。それは、最近の相次ぐ金融機関の破たんなどが証明している。就職希望者は「どんな名前の会社に入るか」ではなく「どんな仕事をしたいか」をはっきりさせたうえで、そのために必要な能力を学業で身につけるべきである。学業をおろそかにし、就職活動だけに奔走するような学生を、企業は求めていない。
この二月、山一証券に内定したものの同社の自主廃業で就職できなくなった大学OBを中心に、「会社に入ることではなく、何をやりたいかを考えよう」という学生たちによる自主的な就職セミナーが東京で発足した。こうした前向きな就職活動が全国に広がることを期待したい。
今の民間企業は、語学力やパソコン習熟度など「即戦力」を求めている。以前は大学教育などにあまり期待せず、採用後の企業内教育によって新人を鍛えていたが、そんな余裕はなくなってきている。大学側もこうした社会の要請にこたえ、企業が求める実践的な能力の育成にも力を入れるべきだ。
大学卒の地域別内定状況を見ると、九州や中国、四国地方の内定率が特に低い。地方にも、将来性のある中小企業やベンチャー企業はあるはずだ。地方の大学は一流企業だけに目を奪われず、地方経済の活性化を踏まえた新たな就職先の開拓を進めてほしい。
就職は一種の“お見合い”である。就職する側は就職先の将来性をしっかり見極め、採用する側も企業の将来を支える本物の人材を求める。好不況にかかわらず、互いに相手を選ぶ時代に入ったのである。