平成 12年 (2000) 3月23日[木] 先勝


主張 早期の運転再開をめざせ

【もんじゅ判決】
 日本のエネルギー政策の柱である核燃料サイクルの成否を左右する高速増殖炉原型炉「もんじゅ」=敦賀市・核燃料サイクル開発機構(核燃機構)が開発=をめぐって、地元住民などが国の安全審査の無効確認を求めた行政訴訟と、核燃機構を相手取り建設と運転中止を求めた民事訴訟の判決が二十二日、福井地裁で行われた。

 訴訟提起後に冷却材の「ナトリウム漏れ」が起きたため、訴訟の行方が注目されたが、判決は「国の審査手続きや審査基準に不合理や明白な欠陥はない」。建設などの差し止めは「将来の運転段階の安全確保対策は十分」などと請求をことごとく退け、住民側の全面敗訴となった。きわめて妥当な判決といえ、この結果を待っていた核燃機構は判決を契機に運転再開を目指し、年間約百億円にのぼる保安経費を実質的な研究開発に振り向けるべきだ。

 もともと「ナトリウム漏れ」は国際原子力機関(IAEA)の八段階の事故評価基準では、軽い方から二番目の「1」に認定されている。「評価3」以下は事故ではなく「トラブル」に属する。「評価4」以上は“正真正銘”の事故で「アクシデント」となる。

 原子力施設では、普通の生産施設と違い、目に見えない放射線による被害が予想されるため、放射線漏れの可能性の有無によって「3」以下と「4」以上に分けられる。わが国の原子力発電所では関西電力美浜2号機の伝熱管破損の「2」が最悪だが、いずれも「事故」と表現されるため国民にことさら「原子力発電は危険だ」との意識が高まっている。判決がこうした事情を見きわめて判断したのは、一部の専門家やマスコミの世論操作に惑わされず、純粋に安全性について審理を進めた点で評価できよう。

 また、原子力発電はやむを得ないが「もんじゅ」や「プルサーマル」のような、使用済み核燃料から「プルトニウム」を取り出して利用する核燃料サイクルは採用すべきでない−との意見もある。しかし、軽水炉燃料のウランも有限でほとんどが輸入である。使用済み燃料をこれ以上使い捨てで増やすのは現代の循環型社会にも反する。

 これを準国産資源と位置づけリサイクルして使うのは、わが国の国際的責務でもある。しかも、最近ようやく具体化した高レベル放射性廃棄物の最終処分にも利することになる。

 ただ、「もんじゅ」ではビデオ隠しに象徴される対応の悪さ、臨界事故では非常識きわまる違法作業など、原子力利用の足を引っ張る行為が後を絶たない。判決が認めた安全性を裏切らない細心な心構えが大切だ。