平成 12年 (2000) 6月 9日[金] 赤口


主張 幅広い角度からの解決を

【国立二小問題】
 東京都国立(くにたち)市立第二小学校の卒業式で、児童が校長に国旗を降ろさせ土下座を迫った問題について、都教育庁が独自調査に乗り出す。校長の指導力をそぐような教職員組合の行き過ぎた活動にも、メスを入れてほしい。

 国立市の公立小中学校は、日教組や全教などの系列にある教職員組合に属する先生の比率が高く、多数をかさに常識を逸脱した組合活動が目立つ。このため、校長や市教委が十分な指導力を発揮できないのが現状である。

 その典型的なケースは、第二小学校で都教組国立地区協議会の組合員が四年間にわたって一つの教室を占有し、組合活動の拠点にしていた事実だ。前校長との間で念書が交わされ、現校長が明け渡しを求めても、応じようとしない。市教委は、目的外使用を市に届け出なかった規則違反として調査を始めるが、規則以前の問題である。教室は本来授業に使用されるべきであり、組合活動などに使ってはならないのは常識ではないか。

 卒業式前日の九時間に及ぶ職員会議も、やり取りを見る限り、常軌を逸している。教員らは「国立には日の丸・君が代は似合わない」「旗は占領の印」などと議論をふっかけ、校長を困らせているように思える。職員会議は、校長が意思決定を行うために教職員の意見を聞く補助機関なのである。

 教師は組合活動をする場合でも、授業や学校行事に支障のない範囲で行うべきである。授業と直接関係のない組合活動は、放課後に学校以外の場所でやるべきだろう。授業に、組合活動のイデオロギー色を持ち込むのも好ましいことではない。

 今回、都教育庁が独自調査に乗り出すことになったのは、市教委の調査が組合側の抵抗で十分にはかどらないこともある。土下座要求問題についても、当初、組合員教師らは市教委の事情聴取に応じなかったという。組合側はいつまでも反抗的な態度をとらず、調査に協力すべきだ。

 一方、国立二小に「子供を誘拐して殺す」という脅迫状が舞い込み、土下座要求問題に関する市の情報が非開示となる事態が起きた。だれが出したものか知らないが、許しがたい行為だ。責められるべきは、校長に土下座を迫った児童より、児童をあおった教師集団なのである。

 国立二小問題は国旗・国歌の問題にとどまらず、「子供の権利の許容範囲」「組合運動のあり方」といった今日の教育現場が抱える幅広い問題を含む。教育の原点に立ち返り、冷静な雰囲気の中で解決策をめざしたい。