平成 11年 (1999) 3月26日[金] 仏滅

主張 やむを得ぬNATO攻撃

【コソボ紛争】
 コソボ紛争に関する和平提案を頑強に拒み続けているスロボダン・ミロシェビッチ大統領のユーゴスラビア連邦に対して、北大西洋条約機構(NATO)は二十四日夜(日本時間二十五日未明)、攻撃を開始した。

 ボスニア紛争の時は、NATOの武力行使によってミロシェビッチ大統領がその強硬姿勢を転換、ボスニア和平が実現した経緯がある。今回のユーゴに対するNATOの攻撃も、力の行使によってミロシェビッチ大統領の妥協を引き出すことが最大の目的だ。同大統領が国際社会の圧力を真摯に受け止め、和平提案を受け入れることが必要である。

 今回のユーゴ攻撃にはNATO加盟十九カ国のうち米国を含む十一カ国が参加した。ユーゴ連邦軍がコソボ自治州で殺りくを続けることを防ぐため、攻撃はユーゴの軍事施設を標的としている。非人道的な武力行使を続けるユーゴ軍を対象にしたNATOの軍事行動は、やむを得ないものである。

 NATOの軍事介入に対しては、国連安保理の常任理事国であるロシアと中国が反対の立場をとっている。だが、二十四日夕(米東部標準時)に記者会見したコーエン米国防長官が「ロシアもミロシェビッチ大統領の頑迷さには不快感をもっている」と述べたように、コソボ紛争の元凶が同大統領であることに関しては国際社会に異論はない。

 冷戦終結後の世界が、三人の独裁者に振り回されている事実を認識する必要がある。ミロシェビッチ大統領、イラクのサダム・フセイン大統領、北朝鮮の金正日総書記である。

 三人に共通しているのは強烈な権力欲と、力だけを信奉する姿勢である。それは同時に強力な軍事力に直面した時に初めて、妥協するという姿勢でもある。

 NATOの武力行使に対しては、中露だけでなく米国議会やわが国にも反対する声がある。

 「武力行使は問題の解決につながらない」「NATOの攻撃によって、紛争がバルカン全域に広がる危険がある」という議論だ。

 だが、昨年十月に成立したコソボ停戦協定を破ったのは、ミロシェビッチ大統領だ。以来、NATOのみならずロシアも同大統領に対して和平提案を受諾するよう働きかけてきた。それを拒否したのも同大統領である。

 同大統領のこれ以上の殺りくを抑えるためには、力の行使以外にない。とはいえ、泥沼化の恐れがあるだけに、NATO側も同時に政治解決の道も探らねばならない。