平成 11年 (1999) 4月 7日[水] 仏滅



主張 流出難民への支援を急げ

 【コソボ危機】
 コソボ情勢の悪化にともなって国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の緒方貞子高等弁務官から、世界に向けてたてつづけに声明が発せられている。そこには非人道的なエスニック・クレンジング(民族浄化)をつづけるミロシェビッチ・ユーゴ連邦大統領に対する怒りや、難民の支援を呼びかける悲痛な叫びがある。

  四月二日の声明はこうだ。

  「ユーゴ治安部隊による広範な人権侵害は、今ただちに中止されなければならない。住民の大量追放と身分証明書などの破壊は、悪意に満ちた国際法違反であり、道徳的にも受け入れられない」

  また四日の声明で緒方さんはこう呼びかけた。

  「コソボに隣接する諸国はもはや、これ以上の難民の流入に対応できない。今やすべての国が人命を救わなければならない」

  国連のアナン事務総長も三月末、「コソボでのユーゴ軍による残虐で組織的な民族浄化に激しい憤りを覚える」とミロシェビッチ大統領を厳しく糾弾した。

  さらに米国政府が発表した「コソボにおける民族浄化」と題する報告書には、アルバニア系住民が生きたまま焼殺された事実など、ユーゴ軍による蛮行が克明に記されている。ミロシェビッチ大統領の残虐行為は、ルワンダでの大虐殺を上回るほどの規模で行われているのだ。

  緒方さんらの呼びかけにこたえて、欧州連合(EU)は難民十万人を一時的に受け入れることを表明した。トルコや米国などもこうした呼びかけに応じている。

  アルバニア系住民が直面している悲惨な状況を、少しでも和らげるためにわが国も最大限の支援を早急に実行すべきだ。政府はコソボに隣接するマケドニアやアルバニアに医師や看護婦を派遣することや、食糧や生活物資の輸送支援などを検討しているという。速やかな対応を望みたい。

  またUNHCR日本・韓国地域事務所が「コソボの事態に対する緊急人道支援活動のため、UNHCRは早急に資金を必要としている」と訴えたように、資金援助も必要だろう。国連は当座の資金として一億七千万ドルを要するとしているが、難民が増えればこの金額が増えることは確実だ。

  世界銀行はマケドニアに対して四千万ドルの資金援助を発表、五月には緊急支援国会議を開くという。わが国も積極的に支援すべきだ。ミロシェビッチ大統領の蛮行に対しては、世界が一丸となって立ち向かう必要がある。