平成 11年 (1999) 4月14日[水] 大安

主張 「事前承認」は非現実的だ

【周辺事態法案】
 国会のガイドライン関連法案審議が大詰めを迎えてきた。二十九日の小渕恵三首相訪米までに衆院を通過させたい自民党は、野党各党と大きく意見が分かれていた四項目について、原案を修正する提示を行った。これによって一気に可決へ向かいたいところだろう。四項目の中には国家の武力集団を動かす決断をどこが承認するか、の重大な条項の修正も含まれているが、これ以上の譲歩は関連法案を形がい化させかねない。野党も国家安全の立場から、早期の成立を図る努力をすべきだろう。

 自民党が提示した修正四項目は、(1)法案の適用を日米安保条約の範囲内にとどめるかどうか(2)周辺事態の対応に国会がどう関与していくか(3)船舶検査に当たって国連安保理決議が必要かどうか(4)周辺事態の定義−である。

 このうち、もっとも関心が高いのは、(2)の国会の関与である。周辺事態法などガイドライン関連法が適用されるときは、事前に国会の承認を必要とするよう原案を修正せよ、と野党は主張してきた。われわれも何らかの形で国会の承認は得なければならないと考えている。

 周辺事態では、場合によっては自衛隊がわが国の領域から外に出て活動する。原則として紛争地域と一線を画するところで活動することになっているが、自衛隊のリスクは国内よりはるかに高まる。このような国家の武力集団の領域外活動が、国会、すなわち国民にオーソライズされずに行われるのは好ましくない(原案は国会報告だけ)。戦闘員の士気にもかかわるだろう。国会の承認は不可欠である。

 しかし、一刻を争う緊急事態に事前の承認を求めよというのは非現実的である。国内が戦場となるような重大事態に発動される防衛出動でも原則事前承認だが、緊急の場合は事後承認が認められている。周辺事態法なども、原案の国会報告だけでなく、できれば事前承認、緊急の場合は事後承認も認められると改めるのがバランスのとれた考え方だと思われる。

 また、何について国会の承認を求めるかも議論が分かれるところだが、基本計画全部を国会が審議して承認というのでは煩雑に過ぎる。自衛隊の活動のうち、もっとも意味合いが重い後方地域支援、捜索・救難、船舶検査の米軍などへの三活動については国会の承認、その他は国会報告とするのが妥当であろう。

 残り三点についても、自民党は譲歩案を提示している。野党も歩み寄って、一日も早くガイドライン関連法案の成立を図ってもらいたい。