【算数嫌い】
算数嫌いの小学生が増え、それが学級崩壊につながっているといわれている。しかし、算数は社会生活のために欠かせない基礎科目である。嫌いな子供も興味を覚え、我慢してでも勉強するように仕向けなければならない。
全国珠算教育連盟が首都圏の小学校教師を対象に行った調査によると、児童が授業についていけず、最も落ちこぼれやすい科目は算数だった。しかも、算数嫌いの児童が多いクラスほど、「先生の話を聞かない」「動き回る」など学級崩壊が進んでいる現状が浮かび上がった、という。
これについて、ゆとりや個性教育を重視する考え方から、「嫌いな科目を無理に勉強させることはない」という意見もある。だが、「個性を伸ばす」といっても、それは基礎・基本をしっかり学んだうえでのことである。ゆとりをはき違えてはならない。
算数の授業で学級崩壊が深刻化しているのなら、その算数の授業を面白くしたらいい。例えば、富山県の小学校では、段ボールの正方形や長方形が何種類も用意され、児童はそれらを組み合わせて自由に箱をつくる授業をしている。そこで、子供たちは「ものの形」を自然に覚える。実生活に即して足し算や引き算を学ぶ買い物教室や、江戸時代の和算の大家、関孝和ら先祖の偉業に思いをはせる授業なども、算数への興味をかきたてるはずだ。
算数は「1+1=2」からはじめ、順を追って少しずつ難しいことを学ぶ「積み木」のような授業だ。途中で分からなくなると、その先へ進めない。他の科目より、落ちこぼれる児童が多いのは当然ともいえる。それだけに、根気強い指導が必要だ。教師は落ちこぼれそうな児童には基礎・基本を反復して練習させ、一方で、伸びそうな子供はできるだけ伸ばすことが求められる。それは難しいことかもしれないが、やりがいのある授業でもある。
最近の国際数学・理科教育調査では、日本の小学生の算数到達度は世界第四位の水準にありながら、算数嫌いの小学生の割合は世界で二番目に多い。文系大学生の三割が小学校の分数計算もできない−とのデータもある。
戦後日本の驚異的な経済復興や高度成長には、国民のほとんどが文字を読み、書き、「九九」の計算ができる−という明治以来の国民皆教育制度があったことも忘れてはならない。学校教育の役割は、一部の天才や英才を輩出することだけではない。できるだけ多くの子供たちに「読み・書き・計算」など基礎・基本を身につけさせることも重要な使命なのである。