【省庁改革審議】
平成十三年(二〇〇一年)一月から現行の二十二省庁を一府十二省庁に再編する中央省庁改革関連法案の国会審議が、十八日の衆院本会議での趣旨説明でスタートする。単なる数合わせに終わりかねない官僚主導の「省庁再編」案を、国会審議の場で改めて検証し、肥大・硬直化した政府機構を真にスリム化する「省庁改革」策につくり変えることが、政治の役割である。二十一世紀の国家像を見据え、思い切った修正論議を求めたい。
省庁改革のねらいは、制度疲労をきたした中央集権型・戦後行財政システムを根本的に見直し、自己責任を原則とした自立的な国家体制に再構築することである。この理念・目標の下に、国家の運営主体を「官から民」「国から地方」に移す規制緩和、地方分権と連動するかたちで、「簡素・効率的で透明度の高い政府」を実現するための省庁改革が進められてきた。
その成果である改革法案は、制度的には国家運営を大きく変える内容を盛り込んでいる。しかし、官僚や族議員の既得権争いにほんろうされた結果、運用次第では行革に逆行しかねない問題点を残している。例えば、現在の省庁を大くくりに統合することによる巨大官庁の誕生だ。
建設、運輸など四省庁が合体する国土交通省は、公共事業関係予算の八割を占める七兆円の予算を握る「巨大利権官庁」になる懸念が指摘されている。国の直轄事業を広域的なものに限定し、公共事業に対する自治体の自主権を拡大するといった分権型の予算配分方式を確立することが急務だ。
行政スリム化の切り札とされる業務実施部門の独立行政法人化も、大部分が国家公務員の身分を保障するなど、どこまで実質的な減量につながるか疑問だ。新省庁名にしても、「厚生労働省」や「文部科学省」など単に統合する省庁名を並べたものや、長すぎる名称が目立つ。行革に対する国民の関心を高めるためにも再論議すべきだ。
防衛庁の「省」昇格も、国の基盤である安全保障のあり方を考えるうえで重要な検討課題といえる。
国の政策決定を官僚主導から政治主導に転換することも、改革の大きなねらいである。副大臣や政務官の導入もその一つだが、経過措置として次期国会から実施される予定の政務次官の大幅増員に備えて、各省庁では政務次官室の増設や秘書官、公用車の手当てなど準備に追われているという。
「改革」に名を借りた政治の側の“利権”拡大や負担増は許されない。国民も国会の行革審議に、厳しい目を向けることが必要だ。