平成 11年 (1999) 5月25日[火] 友引

主張 これからが安保の本番だ

【ガイドライン法】
 日本の安全保障政策上、大きな一歩が刻まれた。新たな「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)に基づく周辺事態法など関連三法が成立した。だが、日本有事に備えた「有事立法」など、政治の怠慢によって手がつけられていない課題は山積している。ガイドライン関連法成立は重要な意味をもつものの、実は入り口にすぎず、これからが本番なのだ。

 成立したガイドライン関連法は、日本の周辺で日本の安全を脅かすような事態が生じた場合、米軍に対して日本側がどのような支援を行うか、その手順などを規定したものである。集団的自衛権の行使は認められていないとする憲法解釈によって、多くの不備や制約が残されたが、であるにしても、日本の領域を超えて「後方地域」での自衛隊の支援活動を可能にしたことは意義がある。

 政府原案は自民・自由・公明三党により修正され、「自自公」路線が成立を導く背景となった。民主党も一時は独自の修正案を出して賛成に回る構えを示したが、最終的には外れた。民主党には政権交代可能な二大政党時代をにらみ、現実的な安保政策の確立が求められていたはずなのだが、今回の選択が党の将来をどう左右するか、重い宿題が課せられたといえよう。

 だが、「戦争に巻き込まれる」「戦争協力法案」といった、相変わらずの観念的平和論ともいうべき主張が、社民、共産両党のみにとどまったことは、日本政治の成熟度をはかるうえできわめて好ましい状況といえる。国民も、一部メディアの異様なほど危険視する過剰反応論を排除していく鑑識眼をもつ必要があろう。

 改めて指摘するまでもないが、今回の関連法は、日本の周辺で紛争などが起き、それが日本の平和と安全を揺さぶる可能性がある場合を想定したものである。冷戦時代の「巻き込まれ論」をいまだに振りかざす神経には、なんとも理解できないものがある。

 地方自治体や民間の協力規定も、日本の安全が脅かされるという事態を考えれば、当然の措置である。日本にことが及ぶのを防ごうとする米兵が負傷した場合、その治療を拒否しようと考えている医師や医療機関があるとすれば、それは医の倫理にも人道にも、さらには国益にも反するのである。

 周辺有事への対応の次に取り組まなくてはならないのは、日本有事に向けた有事法制である。むしろ、こちらの方を優先させるべきであったのだが、過去の政治情勢が許さなかった。自国の安全を真剣に考えるなら、無責任なことをいっている段階ではない。