平成 11年 (1999) 7月 7日[水] 仏滅

主張 国家像を多角的に検証せよ

【憲法調査会】
 衆院に憲法調査会を設置する国会法改正案が衆院を通過し、今国会成立が確実となった。参院でも同じような調査会を設置しようという動きが出ており、参院審議では法案を修正して衆参両院での同時設置を求めたい。実際の論議は次の通常国会からになるが、行き詰まりを露呈している「戦後憲法体制」をあらゆる角度から俎上に載せるべきである。

 これによって、遅きに失したとはいえ、ようやく国会が憲法に真っ向から向き合うことになる。法案提出権のない調査会にとどまったのは残念だが、次の段階では、できる限り早期に法案審議が可能な常任委員会への“格上げ”をはかるよう求めておきたい。

 憲法調査会設置は衆院のほぼ九割の賛成を得た。反対したのは社民党と共産党だけである。憲法を論議することそのものを否定する両党に対しては、改めてその“守旧的体質”を問いたださなくてはなるまい。

 衆院の圧倒的多数が調査会設置で一致したのは、大きな意味合いがある。現憲法の改正規定では、国会の三分の二の賛成で発議し、国民投票で過半数の賛成が必要としている。むろん調査会設置に賛成ではあっても憲法改正に対しては濃淡があるだろうが、少なくとも、改正が可能になる状況へ一歩進んだといえるのではないか。

 その国民投票にしても、憲法で規定されていながら、これを実際に行うための法律は制定されていない。国会の怠慢という以外になく、調査会が本格始動したら国民投票法案についての論議も急ぐべきである。

 憲法をめぐって論議すべきテーマは、すでに数多く提起されている。集団的自衛権の行使や国際的軍事活動とのかかわりなど、「九条」をめぐる徹底した検討が必要だ。さらには、望むべき国家像を描きながら、国と地方の関係、首相の権限、情報公開、知る権利、プライバシーの権利、環境権、国防の義務、私学助成の是非など、多角的な検証が求められよう。

 「護憲イコール平和勢力」といった単純な図式はもはや通用しない。憲法にしがみついていさえすれば、この国と国民の平和、安定、繁栄がもたらされるという旧来型護憲主義は虚構に過ぎなかったと考える。

 むしろ、国際社会での日本に対する芳しくない位置づけや、教育現場の荒廃などを見るにつけ、現憲法体制が弊害になっているのではないかと指摘せざるを得ない。調査会は、憲法を抜きにしては新世紀の日本は語れないという基本認識を踏まえ、論議を進めなければならない。