【民主党自主投票】
民主党は、日の丸を国旗とし君が代を国歌とする政府提出法案の衆院通過にあたり、本会議で行われた記名投票による採決に党議拘束をかけず、議員個々の判断による自主投票で臨んだ。結果は、反対四十六、賛成四十五、棄権一−で賛否がほぼ半々だった。
賛成したのはおおむね元自民党など保守系、反対したのは旧社会党系議員らで、賛否の色分けは、民主党が“寄り合い所帯”であることをそのまま反映した形となった。党の幹部も対応が割れ、菅直人代表、横路孝弘総務会長らは反対、羽田孜幹事長、鳩山由紀夫幹事長代理らは賛成した。
われわれは、民主党の今回の自主投票が、政党のあり方として正しいといえるのかどうか疑問を抱く。国旗国歌法案は国のありようにかかわる法案である。今後も、憲法にかかわる問題や国民の生命財産を守る安全保障関連など、国の基本方針を決める重要法案への賛否が問われよう。そうしたさい、党内の意見の分裂を理由に自主投票で臨むなら、政党としての役割は果たせないのではないか。民主党は重い責任のある野党第一党なのだ。
衆院本会議の採決の前日、民主党は産経など八紙に、「正直言って悩みました」と党内論議の経過を説明した意見広告を掲載した。要約すれば、日の丸・君が代に対しては法制化の是非を含め党内に賛否両論あるが、結論として、日の丸の法制化は「(アジアに対する侵略の象徴であった)過去を直視し、誇りに思える未来を創り出すため」に賛成、君が代法制化は「本来もっと時間をかけて論議すべき」で反対という内容であった。
民主党が提出し、民主党を除く全党の反対で否決された日の丸だけを法制化する修正案は、そうした党内論議を踏まえたものだったのだろう。だが、その修正案と本会議での政府案に対する自主投票とはどうつながるのか、きわめて分かりにくい。
自主投票を決める前に、民主党は政調審議会でいったん政府案に賛成する方針を決めている。しかし、総務会で反対論が続出し、結論を一任された菅代表と羽田幹事長が党内の意見聴取をやり直して、修正案提出と自主投票に方針を変えた。意見対立に配慮して党内を丸くおさめるための方針変更と受け取らざるを得ない。
党首脳は国会の採決の場で党の姿勢を明確に示し、結果に反映させるべく全力をあげるのが本来の姿ではないのか。党内事情への配慮を優先して党としての統一方針を打ち出せないのなら、民主党は国家の重要問題で政党の役割を果たすことはできまい。