平成 11年 (1999) 9月14日[火] 赤口

主張 日本のできる貢献さぐれ

【東ティモ−ル】
 インドネシアのハビビ大統領が、騒乱の続く東ティモールへの国際部隊受け入れに、ついに同意した。現地の治安回復が進まぬ中、インドネシアが部隊の派遣をこれ以上拒むなら、もはや同国には国際社会での信用失墜と孤立しか残されていなかっただけに、大統領の決断を歓迎したい。

 国際部隊の枠組みについては、これから国連を舞台に協議されることになるが、編成には一部で難航も予想されている。インドネシアは隣国オーストラリア軍の展開に消極的だが、国際部隊派遣にもっとも積極的なのもオーストラリアだからである。ここはオーストラリアだけが突出することのないような配慮も国連には必要だろう。

 そもそもインドネシア世論は国際社会とは温度差がある。東ティモールの独立を歓迎せず、ハビビ大統領を独立への道筋をつけた張本人として非難する声さえある。大統領は東ティモール独立が、もはやインドネシアにとって不可避の現実であることを国民に粘り強く訴えていくことが大切だ。国民協議会を開催し、住民投票の結果を認めるなど独立のプロセスを確実にする手続きも急がねばならない。

 ひとたび国際部隊が派遣されたならば、インドネシア軍は協力して一刻も早く治安を回復し、東ティモールの独立へのプロセスを本来の軌道に戻すことだ。もし今後も東ティモール問題の対応を誤れば、独立の動きを抱えるイリアンジャヤ州やアチェ特別区に悪影響を与える。その時こそ多民族国家インドネシアは、さらに大きな危機を迎えることになるからである。

 国際部隊の派遣に対して野中広務官房長官は、日本の部隊参加には国内法の制約があると答えた。インドネシアは日本が最大の援助国であると同時に、東南アジア外交の要であり、シー・レーン確保の上からも枢要な国である。日本の国益と密接な国に対して、現行法で派遣協力が困難なのは残念ではある。

 しかしそれは、何もしないことではない。派遣に伴うコストは率先して負担し、タイミングを逸した湾岸戦争の時のような愚は繰り返すまい。また治安がある程度安定すれば、人道援助も積極的に行いたい。

 国連主導による独立のプロセスは、カンボジア暫定統治機構(UNTAC)よりさらに包括的なものになるだろう。今後、数年に及ぶことも予想される。そのプロセスにいち早くイニシアチブを発揮してはどうか。例えば独立に不可欠で決定的に不足している人材の育成計画を打ち出すことも、長期的には大きな貢献となる。