運輸省が、税金を利用して、自動車から排出される二酸化炭素(C(O2))の削減を図る構想をまとめた。
自動車の重量ごとに一定額を課税している自動車重量税(国税)、排気量が多いほど税額の高い自動車税(都道府県税)、それに準じて課税している軽自動車税(市町村税)のすべてに、燃費の要素を導入し、燃費性能の良い車の税負担は軽く、悪い車は重くしようという構想だ。
アイデア自体は悪くない。C(O2)削減効果もかなり期待でき、試みる価値は十分あるだろう。
しかし、国民生活に関係が深く、国や地方自治体の財政を支えている自動車関連税制を大幅に変えようというのだ。
実施に当たって公正で妥当な運用をどう確保するか。解決すべき課題が多いと言わざるを得ない。大蔵・自治省と協議し、問題点を洗い出す作業が不可欠だ。
政府は昨年六月、二〇一〇年度のC(O2)排出量を九〇年度から6%削減するという国際公約を達成するため、地球温暖化対策推進大綱をまとめた。
C(O2)排出量の20%を占める運輸部門では、二〇一〇年度までに、炭素換算で千二百七十万トンの削減を図るとし、このうち、「自動車の燃費向上」には三百二十万トンを割り当てた。
税による低燃費車の購入促進は、目標を実現する手段として、既に政策に組み込まれている。九九年度税制改正では、電気自動車やハイブリッド車などに関する自動車取得税の減税措置が拡充された。
今回の運輸省案の中心は、次の通りだ。自動車重量税では、現在の重量区分ごとに燃費の標準を決め、その税額は据え置く。それより燃費が良ければ一万円程度軽くし悪ければ二万円程度上乗せする。
自動車税・軽自動車税も現行の排気量の区分を残したうえで、燃費によって二万円程度の軽減から三万円程度の上乗せまでの差を付けるとしている。
自家用乗用車の年間の税額が、重量税で二、三万円、自動車税で三、四万円という中でのこの格差だ。消費者を低燃費車の購入に向かわせる効果はあるだろう。
しかし、重量税は九九年度の税収が一兆千億円余、自動車税は一兆七千億円余と見込まれる基幹的な税だ。運輸省は、税収中立で制度を構築するとしているが、税としての妥当性の確保を忘れてはならない。
最大の問題は、税制がより複雑になり、「簡素」という原則に反することだ。また税額を決めることになる燃費は、カタログに記された数値を、効率が落ちた中古車や改造車にもそのまま適用する。それが、納税者の理解を得られるか、疑問が残る。
物価安定のため、大幅に優遇されている商用車も、「C(O2)削減」を目的とするなら、別の角度からの検討を迫られる。景気への配慮も必要だ。
欧州では、環境税を導入する国が相次いでいる。日本でも税を環境対策にどう使うか、ルール作りを始める時かもしれない。運輸省案は、そのたたき台になりうる。
(4月7日9:38)
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