3章:なぜ「私立」なのか 投稿者:むくまろ  投稿日:04月25日(日)16時12分16秒

>池内様、なるほど頭で考えているのと実際ではずいぶん違うんですね。
勉強になります。
>柴犬様、「池内様」の投稿の併用は「必須」ですよ、あれがなければ何の意味もない「空論」なのですから。

次に私立ですが、私立中には大きく分けて3種類あります。
1.大学の付属中
2.中高6年一貫の進学校
3.高校受験を目的とした私立中
です。
1については「大学の校風」に大きく影響されるため割愛します。例えば「國學院久我山中」と「法政二中」では全然違います。個別対応になるということです。
3については東京の「清明」、大阪の「履修社」など数えるほどしかないので割愛します。
最後に2ですが、「まともな所には全校採択されて当然」と考えています。

理由を説明するために「まともな6年一貫校の社会科主任」の身になって考えてみます。
6年一貫校では高校受験がないので「大学入試にとっての歴史」がその指導内容になります。極論すれば大学入試における結果が良くなりさえすればよいわけです。で、「社会」という科目は暗記科目であり6年の内の最後の1〜2年で追い込みをかける科目であると位置づけられます。そのため に中学、つまり「前半の3年間」はどうあるべきか。というのが彼らの発想になります。「高校入試」が念頭を離れない「公立の先生」とは全く違う発想になるわけです。

東大、京大などの歴史の問題は「論述式」です。「歴史の流れ」が正確につかめていないとピントはずれの解答になってしまいます。
早稲田、上智など有名私立の歴史は「細かい知識の勝負」になります。「暗記」が主体になりますので歴史が好きでないと相当に苦しい作業になります。

従って一貫校では「全体の流れを把握しやすい」「歴史好きに生徒をしてくれる」教科書が求められることになります。前半で求められるのはこの2点になります。後半が楽になるからです。

このような教科書に対する「需要」があるにも係わらず、現在の7社はご存じの通りその「需要」に全く応えていません。商品を普及させるには「需要のあるところに供給する」のが原則ですから、当然「つくる会」の教科書は「流れが掴みやすく、歴史のおもしろさを堪能させてくれる」ことを「売り」にしているので営業方法さえ間違えなければ「無人の野を行く」状況になります。

その証拠として一貫校では現在、社会のカリキュラムにどこも苦慮しています。中学の教科書を使わずに4年間で高校の教科書をやり、最後の2年は問題演習に当てている学校、すべてをプリントでやっている学校などいろいろですが、現在の中学の歴史教科書が「粗末に扱われている」事例を探 すのは簡単です。「ニーズを満たしていない」からです。

一貫校に対しての営業は、
名門校に対しては
「歴史の流れが把握しやすいので、論述式の出題に対する基礎固めが出来ます。東大、京大などの入試に有利になります。」
発展途上校、女子校に対しては
「歴史の流れが掴みやすく、また興味を引き立てる内容になっていますので後半の暗記がずっと楽になります。一流私大受験に有利になります。」
おまけに私立には「右よりの学校」まであり、そこに対しては 「日本人としての誇りを喚起させる内容になっています。」 といった「つくる会教科書の本領」をフル回転させた営業が出来、それが「一貫校のニーズ」に完全に合致するわけですから「採択されて当然」な訳です。「大学入試に有利になる教科書」というレッテルを貼って活動できるのです。

PS・・・商品の「普及」には「需給バランス」と「あこがれ」が大切です。今回は「需給バランス」のみでしたが「あこがれ」に関しては5章以降に書きます。
テーマは「一流私立がこぞってつくる会の教科書を使いだしたときの公立に子供を通わせる父兄の反応」になります。

PS・・・「巳板」で池内様が「指導要領」について私立における採択を懸念されておられましたが、それについては第4章「プログレスに学べ」に記載します。表題だけで「分かる人には分かる」はずです。



4章:「プログレス」に学べ 投稿者:むくまろ  投稿日:04月25日(日)17時00分57秒

ゴールデンウィーク前に仕上げちゃおうと思っているので引き続き4章に入ります。3章とセットだからです。

キリスト教系の私立が受験に強い要因の一つとして英語の教科書に「プログレス」を採用していることがあげられます。

この教科書は「イエズス会」が作っていて、まず「栄光学園」あたりが英語の教科書として採用し始めたようです。
この教科書はちょっと見たことのない人には説明できないほど「それ以外の英語教科書」とは異なっています。歴史における「つくる会」と「その他」の違いなど問題にならないほど違うはずです。
まず「サイズ」が大きく、ページが3倍くらいあり、「絵」が少なく、長文と問題が細かい文字でぎっしり埋まっています。
おそらく「指導要領」を逸脱している教科書です。なぜなら公立で学ぶ英単語は3年間で800位なのですが、「プログレス」は中一の教科書だけで千語を突破しているからです。
私立では週に7時間くらい英語の授業があるところが多いのですが、プログレスを使っていると名門校でも「これでやっと」になります。最近はそれ以外の学校でも使い出されていますが「6年間で5冊、又は4冊」こなすのがやっとといった状況です。
尤も4冊もこなせば大抵の大学には受かっちゃうレベルなのですからそれでいいわけです。
当然ついていけない子もいっぱいいて、表には余り出ませんが「プログレス専用」の塾や家庭教師は大盛況です。

「プログレス」を使うと、特に「上智、青学、立教」といった女の子に人気のある大学に非常に有利になります。又女子校は「英語」を「売り」にするのが「名門への近道」なので近年採用校が着実に増えています。

なにが言いたいかというと6年一貫校は「受験に有利になることなら何でも採用する」ということです。指導要領や検定さえも私立の「自主裁量」の前では力を失ってしまいます。「つくる会」の教科書も「大学受験に有利」をセールスポイントにすれば長期的に採用校を増やし続けられるでしょう。

長い目で見れば、このベクトルで行くことのみが「公立への採択」へと結びついて行くのではないかと個人的には思っています。





私学に関しては驚くことばかりです 投稿者:池内晴紀(兵庫会員)  投稿日:04月25日(日)17時52分58秒


むくまろ様>私学の教科書選定にあたっては、驚くことばかりです。
いかに公立中学がアナクロでマンネリな教育方針をとっていたこかと愕然とさせられます。
このような状況下では、文部省の推進する「ゆとりの教育」などというたわごとは紙上の空論でしかないということですね。



(編注)誤解しやすいのですが、プログレスはあくまで副読本で、別に教科書検定を通った正式な教科書はあります。
しかし、プログレスがあたかも教科書として使われていることを述べています。




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