教科書採択戦に勝て! 概要
「新しい歴史教科書をつくる会」については皆さんご存じのことと思います。この会は現行の自虐的な中学歴史教科書を否定し、新しい歴史教科書を作ることを目標にした会です。
まだ歴史教科書はできていませんが、つくる会の会員であり塾の教師でもあるむくまろさんが、いかにして教科書の採択戦に勝利するかの提言をされました。そして同じくつくる会の会員、池内さんが提言にコメントされています。これらの内容をごく簡単にまとめました。
1.採択の現状
教科書会社は売れる教科書を作ります。売れる内容の教科書が良い教科書ということになります。
大阪では匿名をいいことに、調査委員は全員、教職員組合の組合員教師で占めています。そして同和教育研究会の「大同協文書」の採点を元に教科書を採択しています。同和教育研究会の「大同協文書」は、事実上の「検閲機関」です。
教科書採択委員は、一般に対しては原則非公開です。しかし、学校関係者は、みんな、誰が採択委員か知ってます。非公開というより「一般には公開しない」だそうです。
2.教科書の内容における問題点
つくる会の教科書は「文言」で高校入試の過去問題に対応できないケースが多くなると思われます。その結果、公立高校の出題範囲を網羅していない教科書と他社にレッテルを貼られかねません。
しかし実際は、その県が採択している教科書を比較検討して特定の教科書利用者が不利にならないようにするにきまっているので、不利にはならないと思われます。網羅されていない不安を取り除くことが公立における採択戦の鍵になでしょう。
営業マンは先生の意見を拝聴させていただくという態度で選定委員に接近します。また委員はどの教科書も同じと思っているので、利便性等が決め手になっています。口コミ等も大事なので一般教員から信望の厚い人物との接触も重要です。手土産には「日本全史辞典」「漫画日本の歴史」等がよろこばれるでしょう。
3.なぜ「私立」なのか
私立中には(1)大学の付属中(2)中高一貫の進学校(3)高校受験を目的とした私立中 があり、(1)は校風によって、(3)は数える程しかなく(2)については「まともな所には全校採択されて当然」と考えます。
6年一貫校では高校受験がないので「大学受験にとっての歴史」が指導内容になります。「社会」は暗記科目で、6年の最後の1〜2年で追い込みをかける科目とされています。そのために中学ではどうあるべきかという発想は、高校入試が頭から離れない公立の先生とは全く違ったものになります。
名門校に対しては
「歴史の流れが把握しやすいので、論述式の出題に対する基礎固めができます。東大、京大などの入試に有利になります」
発展途上校、女子校に対しては
「歴史の流れが掴みやすく、また興味を引き立てる内容になっていますので後半の暗記がずっと楽になります。一流私大の受験に有利になります」
おまけに私立には右よりの学校まであり
「日本人としての誇りを喚起させる内容になっています」
といった営業ができ、「採択されて当然」です。
4.「プログレス」に学べ
キリスト教系の私立が受験に強い要因の一つとして事実上の英語の教科書として「プログレス」を採用していることがあげられます。「プログレス」はサイズが大きく、ページが3倍位あり、絵が少なく、長文と問題が細かい字でぎっしりと埋まっています。公立で学ぶ英単語は中学3年間で800位ですが、プログレスでは中学1年の教科書だけで1000語を超えています。当然ついていけない子も多く、プログレス専用の塾や家庭教師は大盛況です。「プログレス」を使うと特に「上智、青山、立教」といった女の子に人気のある大学に非常に有利になり、近年採用校が着実に増えています。
6年一貫校は受験に有利になるなら何でも採用します。副読本の「プログレス」が事実上の教科書になっていることからわかるように、指導要領や検定も私立の自主裁量の前では無力です。つくる会の教科書も「大学受験に有利」をセールスポイントにすれば、長期的に採用校を増けられるでしょうし、長い目で見れば、このベクトルのみが公立での採択につながるでしょう。文部省の推進する「ゆとりの教育」は紙上の空論です。
5.公立王国の採択
ここでは県内で1位、2位の高校が共に公立である県を公立王国とします。なぜ中学ではないのかは、「名門私立高校」は必ず「付属中学」を持っているので、県のトップが私立高校の場合は県のトップの中学は「その付属中」になると考えて問題ないからです。これらの県にはあこがれの私立中がありません。ただ、県内に国立中があり、その中学がトップ公立高校に数十人単位で合格者を送り込んでいる場合、その国立中の採択が長い目で見ると生命線になります。また、勢いを感じさせる一貫制私立が出てきたら注意します。
(編注)該当都道府県別の既述がありますが、省略しますので原文をご覧下さい。
6.私立王国の採択
県内で1位、2位の高校が共に私立である県を私立王国とします。本来は公立がしっかりしていれば安い方がいいので、このようなことはおきません。1、2校ならともかく、私立が上位にずらりと並ぶのは1で書いたような状況だからです。
このような地域では私立最優先が鉄則です。左傾した地域では採択の先生の考えを変えるのは困難ですので世論の力で押し切るしかありません。ここで言う世論とは、先生に直接関係のない「国民の歴史」の部数や「つくる会」の会員数ではありません。それには本が1桁、会員数が2桁足りません。
教師達にとっての世論とは父兄からの圧力です。この地域の私立は熾烈な争いをしており、ここでの私立の採択戦に勝てないようでは論外です。その後に公立における「真の採択戦」になります。
7.拮抗県の採択戦
県内で上位2校の高校の内1つが公立の県です。ここでは当然私立一点突破を目指します。「つくる会」の教科書の良さをいくらアピールしても証拠がなければ横並び民族の日本人の先生を「好意」から「決断」まで持ち込むのは大変です。これらの県では上記の1校さえ採択すれば「良い教科書」の証明が済んでしまうので、父兄を味方にでき、公立における採択戦が楽になります。
逆にその1校に失敗すればすべてが悪い方にスパイラルしていく可能性もあり、「この1校を落とすまでは公立はやらない」位の覚悟が必要です。
最後に
現在のつくる会の濤川先生の戦略方針は「人々の力を集して、政治家を動かし、教育委員会の採択方針を変えさせる」であり、具体的には「告知ビラをつくって人集めをする」「周囲の人々に呼びかけて、国民の歴史を買ってもらう」等の組織勢力拡大を主体とした運動になりそうです。しかし、現実的にこの戦略で採択戦に勝利することは困難で、危機感をもった池内さんが小林先生に訴えたところ、ゴー宣で「つくる会による教科書販売はもう結構!」と書いてくれました。まず有名私立校に採択してもらい、父兄を味方にし、公立の採択を目指す方針でいくべきです。