あなたと別れてから
この桜は三度目の花を咲かせました
私も少しだけ大人になって
あの時 あなたの言っていた事がわかるようになりました
「思い出は 忘れる為にあるんじゃない
心に刻む為にあるんだ」
あの頃の私には幼すぎて
ただ うなずくことしかできなかった
別れたばかりの頃は
二人の事 思い出すのも嫌だったけれど
今ではそれも私の一部なのだと
思える様になりました
離ればなれになってしまって
もう二度と会うことはできないけど
私が見上げているこの空と
あなたのいるところの空とが
つながっているんだと思えば
もう寂しくなんかないよ
優しく吹く春風が
散っていく花びらと こぼれ落ちる涙を
そっと包み込んでくれた
ちょうど三年目の 春の日の午後
TOMOKO
好きだけど「好きだ」と言えない
はがゆさ つらさ 苦しみが
僕の心を満たしていく
友達と君とで行ったカラオケ
店の前で待ち合わせしていたら
君は少し遅れて来て
「ごめんね」と皆に声をかけた
だけど あいつには少し違う言葉で
「ごめんなさい」と手をつないだ
楽しそうに歌う君の笑顔は
僕の持っている物の中で
いちばんの宝物なのに
あいつの前では僕には見せない
もっと素敵な笑顔を見せるのか
僕にマイクが回ってきて
君の為に歌うラブソングは
心に残る事無く
過ぎていくのだろう
一人きり図書室で
沈んでいく夕日を眺めていたら
「きれいだね 今日の太陽」と
声をかけてくれた君を
僕は ずっと忘れない
自転車を押しながら
二人で帰った あの日
あいつと付き合うか迷っていた君に
「やめたほうがいい」と言ったら
「どうして?」と聞かれて
何も言えなくなった僕を
君は つらそうに見つめていた
「あいつなんかよりも 僕と・・・」と
言葉をつまらせたら
君もそれから話すのをやめた
明日からは社会人になって
皆はそれぞれの道を行く
今日会うのが最後だから
僕は君に会いに来た
あいつの側にいることで
君がずっと笑顔でいられるのなら
それでもいいと思った
君が幸せでいられるのなら
それでもいいと思った
卒業アルバムをめくると
集合写真に写っている僕が
君の方を見ている写真がある
けっきょく告白できずに
学生生活は終わってしまった
君は僕の親友を好きになり
今では同じ大学にいる
あいつから電話がきても
受話器を取ることはない
留守電のメッセージに
「今 二人で飲んでるから来いよ」
なんて入れられても
行けるはずがない
すっかり暗くなった駅のホーム
誰かが階段を降りてくる
ひとりぼっちの待合室に
甘い香水の匂いが入ってきた
僕の前を通リすぎる足音が
少し行ったところで止まった
ゆっくりと顔を上げると
そこには君がいた
次の日の朝
雨が降っていて
車に泥水かけられたけど
気分は晴天だった
TOMOKO