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☆ 外国を詠む 2000年 |
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≪イギリス〜スコットランド〜ウェールズ≫ 4月22日〜5月5日 *イギリスのバーミンガムには大学院に留学中の金君一家が住んでいる 金君は財経部(日本の大蔵省)の役人で可楽は彼の師でもあり仲人でもある 論文の審査をパスしたので自分たちの帰国前に是非遊びに来てください! という誠意ある誘いに応え我々はイギリスを訪問することとあいなった 黄昏のロンドン塔や春おぼろ 鳴り響く鐘の音春の風に遭ふ 正装で集ふ寺院の春闌けて ・ウエストミンスター寺院で結婚式があったらしく タキシードやステキなドレス姿の老若男女がうち揃い優雅な雰囲気だった 倫敦の春夜に乾杯ギネス飲む ・ギネスビールはやはりイギリスで飲むにかぎる 訪ね来しバーミンガムは春の闇 ・二日間ふたりでロンドンをうろついたあと夜遅くバーミンガムの金君宅へ 翌々日彼の車でエディンバラに向かった *エディンバラで一泊した後は翌朝から現地ツアーに参加、スコットランド巡りの旅に出た 金君はその間友人とゴルフを楽しんだりして我々の帰りを待っていてくれた 何しろエディンバラ近郊には世界でも有名な素晴らしいゴルフ場があるのだから 握手して見送られたる花の宿 ・金君の友人が予約しておいてくれたエディンバラの“ジムとオリーブのB&B” は部屋も食事もサービスも最高だった 金雀枝(エニシダ)の丘より眺む古城かな ・カールトン・ヒルよりオールドシティにあるエディンバラ城を望む 近くで見ても良かったが離れて見ても趣きがあった 見はるかすスコティシュ・グリーン春野行く ・延々と続く丘陵地帯は若草の色が絶妙で我々はそれをスコッティシュ・グリーンと名づけた 若草やスコットランドの白ひつじ 子羊の母に寄り添ふ春野かな うららかや生れて(あれて)間もなき羊の子 ・季節的にちょうど子が生まれる時期だったのであちらこちらに赤子???がいて可愛かった 春うららネス湖のネスもお留守です 金雀枝の黄色のなかを走りけり ・韓国の連翹のように道路沿いや丘のあちらこちらが黄色でいっぱいだった 金雀枝の棘に刺さるも楽しかり ・甘い香りを楽しんでいたら棘に刺されてしまった 旅仲間足滑らして春の川 ・スペインの女性が落っこちてひと騒ぎ、女だてらに私も救助に加わった ハイランドいなかの鳥も囀りて ・ハイランドはスコットランドの北部地方 パン屑を撒けば小鳥の来て食みぬ ・スコットランド人ガイドのメアリーがお昼の残りのパン屑を撒いたのでしばらく待っていたら 青い羽をした小鳥が木から降りてきて啄ばんでいた、人間をまったく恐れていないようだ 長閑なりフィシュ・アンド・チップス立ちて食む ・フィシュ・アンド・チップスはイギリスの代表的な食べ物でフライド・ポテト付き鱈の揚げ物 行く春やオックスフォードの古きパブ ・スコットランドから戻り今度はオックスフォードや湖水地方を訪れた このパブで飲んだビールの味が忘れられない 春陰や石の屋根乗る石の壁 ・ウィンダミア湖のほとりにあるワーズワースのコテージ たくさんの傑作がここで生まれたという、今は記念館となっている こんなに風光明媚な所で暮らせばいくらでも美しい詩が書けるはずだとひとり納得 風光る湖水地方のミニホテル ・ここのB&Bも気に入った 花盛りコッツウォルズの古民家 ・とても気持ちのいいイギリスらしい田舎だとの印象 コッツウォルズとは「羊小屋のある丘」という意味だそうだ 村はのんびりとしていて村人もおっとり、何百年も変わらずにある家並が静かに佇んでいた 春日向シェークスピアの街を行く ・ストラトフォード・アポン・エイヴォンという長い名の街 ここにはシェークスピアの生家(再現?)や有名なシェークスピア劇場がある 石畳の街には中世の雰囲気がバッチリ漂っていた(でもちょっと観光ずれしてたかな?) 人の居ぬウエールズの海も夏隣り ・金君一家とウェールズの旅 ケルト語のリズム軽やか日うらうら ・世界で一番長い名前のお店があるというのでそこを訪れた 地元の人にケルト語で発音してもらうもチンプンカンプン、でも耳には心地良く響いた 春風のごとくユダヤのジョーク聞く ・金君の中一の息子は車中でひっきりなしにユダヤのジョークを飛ばし皆を笑わせてくれた 裏庭に出でてポプラの若葉かな ・バーミンガムに戻り金君の家で可楽がそれをスケッチした 惜春やパブを求めて夜の街 ・昼夜を問わず喉が渇けばパブを探してウロウロ、このウロウロは旅行中ずーっと続く 行く春や並びて観たるダリ凄し ・ロンドンに帰って来てもう一度ナショナルギャラリーを訪れダリの特別展を観る 二組の夫婦抱き合ふ春の駅 ・バーミンガムから見送りに来てくれた金君一家とはロンドンのユーロスターの駅でお別れ 金君はその間嫌な顔ひとつせずきめ細やかに我々の面倒をみてくれた 子供たちには最後まで韓国語で「ハラボジ(おじいちゃん)」「ハルモニ(おばあちゃん)」 と呼ばれ少々戸惑ったがそれも何時の間にか慣れっこになっていた、むしろおじいちゃん・おばあちゃんの気分を楽しんでいたのかも知れない、駅ではみんなでお別れの涙を流す 春眠やユーロスターは海の底 ・イングランドは天候不順な日が多いというのに旅行中はずっと快晴に恵まれラッキーであった パリへ向かうユーロスターの中ではさすがに疲れが出たらしく半分ぐらいの時間をぐっすり寝込んでいたようだ、起きていたとしてもトンネルばかりで面白くもなかったであろうと思われる ≪フランス〜アムステルダム〜フランス≫ 5月6日〜20日 *パリには可楽の姪が留学中だ もうひとり、教え子の孫君もいるのでせっかくの機会だからとフランスまでやって来た 出迎えの姪にキスすりゃ風薫る 不揃いのグラスで乾杯夏初め ・孫君のアパートで シャンゼリゼ青葉がそよぐほどの風 パレードの馬も凛々しや若葉して ・5月8日第二次大戦終戦記念日のパレード 汗ばみてモンマルトルの丘に立つ スパニッシュオムレツ旨し夏木陰 ・モンマルトルのカフェで昼食、ボリュームが有りそうなので一人前をオーダーして正解だった 庭のテーブルで食事をしたが近くの路上ではおじさんが一人黙々とコントラバスを演奏していた 曲はもちろんクラシック、音が一流であったことを付け加えておきたい 鳩の来る窓を開くれば若葉風 ・パリ,ナッシォンの姪の部屋で 美術館くたびれ出でて薄暑かな バゲットとワインとチーズ初夏の風 ・おいしいパンとチーズとワイン、そして明るい太陽、これだけあれば私はいつも幸せ パリ郊外菜花広がる地平線 ひなげしやバゲット半分買ひに行く ・パリではバゲットを半分でも売ってくれる 「バゲット半分ください」のフランス語を覚えた可楽は毎朝一人でパンを買いに行ってくれた 聖五月小粋な人と擦れ違ふ 夏めきて少し上達フランス語 最終船に乗れてセーヌの夏夜景 ・時間ギリギリで遊覧船に滑り込みセーフ ≪オランダ≫ *姪が予約しておいてくれたので我々は夜行バスに乗りオランダにやって来た アムステルダムには朝早く到着、旅行社指定のホテルにチェック・インした アラビアのコーヒー薫る初夏を行く ・街中で飲んだコーヒーは極上だった 同じものをその場で缶詰めにしてもらい買って来たが味は今ひとつ、水が違うせいか パンに挟む酢漬けニシンを鴎にも ・海辺で食べた酢漬けニシンのサンドイッチ、忘れられないほど美味しかった 堪りかね夏帽子買ふ吾が亭主 ・帽子をバスに忘れてきたのでもう一つ買った 牛の絵の夏帽似合ふ亭主かな 初夏やつぶさに観たりゴッホの絵 ・さすがゴッホ美術館、好きな絵が勢揃いで感激、いずれまた訪れたい 自画像がこちらを見てる夏館 初夏の陽に焼かれ運河の舟の中 ・アムステルダムの運河巡り、真夏日のように暑くて上半身ハダカの若者がたくさんいた フェルメールの絵を諦めて緑陰へ ・是非とも観たかったが残念なことに時間不足、こんどオランダに来ることがあったら必ず観ようと心を決めている 骨董屋巡りのあとのビール哉 夏の宵コンセルトフェボーを通り過ぐ 短夜や外に溢るる人と卓 ≪イスラエル〜ヨルダン≫ 9月2日〜12日 *イスラエルで労働法と社会保障法の国際会議があり可楽が政府代表として参加 私も自費を払いお供した、その後十日もせずパレスチナ問題で当地がきな臭くなり非常に驚いた 訪ね来しイエスの里の星月夜 エルサレム無花果並ぶ夜の市 塩辛き死海に浮けば秋の空 ガリラヤ湖見下ろす丘や秋暑し 厳かに入る浅瀬の水澄みて ・ヨルダン河に足を浸してきた レモン絞りペトロの魚を指で喰む ・ペトロの魚は Peter's Fish のことでガリラヤ湖の名物 越へ行くはゴラン高原残暑なか ・ゴラン高原の麓のキブツを見学 新涼や博物館の夜の宴 ・エルサレムでの会議最終日、国立博物館を貸し切りで優雅な夜の宴会が催された ひとすじの秋風捉へ砂丘超ゆ ・会議終了後のオプションでヨルダンへ向かう 天高しアラブの馬でギャロップす ・ペトラ遺跡にて ヨルダンの砂漠を越へて今日の月 秋天やモーゼの果てし丘に立つ 目覚むれば砂丘の果てに秋夕陽 入日落つるところ秋の地中海 ・イスラエルに戻る、丘の上からテルアビブの街とその先に地中海が見えた ビール手に語らふ夜のテルアビブ ・浜辺で可楽の学会仲間と飲みながら |
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