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<2003年のみちこの句> |
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《 ソウル俳句会での発表句 》 ☆一月・初句会(兼題:初、凍、オンドル、キムジャン、去年今年など) 住み古りし居間にあふるる初明かり 羊の絵描きて今年も始まりぬ 汽車の窓「凍」といふ字を指で描く ☆ 一月・定例句会(吟行無し、嘱目) 寂寞(じゃくまく)にゐて冬雨の音聞かず パッジュクを旨いと思ふ吾がゐる (パッジュクは韓国語で小豆粥) 高速道すっ飛ばし行く冬野かな ☆ 二月・勉強句会 降り初(そ)むる雨の軽ろさや春兆(きざ)す 開け放ち立春の風入れにけり 立春のひかり車内に跳ねる朝 ☆ 二月・吟行句会(慶福宮) そぼ濡れし古宮の木々や余寒なほ 相老ひて傘さし行くや木の芽道 二ン月の地下鉄燃ゆる日を泣けり ☆ 三月・勉強句会 会釈など交はす真昼の春の雪 春陰や体内時計ちと狂ふ 一ツ家に暮らす縁(えにし)や春しぐれ ☆ 三月・山口嵩史さん追悼句会 飄々と花より先に逝きたまふ この春も日に日に寂し君逝けば 春宵惜別われに泣きぼくろ ☆ 四月十二日・臨時観桜句会(ヨイドー国会議事堂周辺) 縁なればともに歩まん花の下 花煙(けぶ)る砂漠の民は今日いかに 花曇りあしたあしたよ軽くなれ ☆ 四月・吟行句会(ソウル駅鉄道博物館と周辺) 行く春やわが人生は鈍行で 木洩れ日の駅前広場風光る 目覚しを止めて春眠貪りぬ ☆ 五月・吟行句会(ソウル北村<韓屋の町>周辺) 万緑や古き母屋の太き梁(はり) 初夏の空にそびゆる屋根の反り 韓屋根のつづく路地裏薄暑かな ☆ 六月・勉強句会 郷愁も添へて新茶の届きけり 緑陰に憩ひて無口老夫婦 緑さす李朝時代の韓屋敷 ☆ 六月・吟行句会(ソウル成均館大学キャンパス) 花合歓の道ゆるゆると百日忌 孔孟も悠遠となる梅雨晴間 花嫁は日本の人よ梅雨晴れて ☆ 七月・勉強句会 薄く晴れうすく曇りて半夏生 うち揃ふ家族がありき端居して 瑠璃色の小さき花にも夕焼けて ☆ 七月・吟行句会(ソウル奉恩寺) ぬかずけぬわれも善女か夏百日 境内に雀集ひし梅雨干ぬ間 緑濃きなかに真白き大観音 ☆ 九月吟行旅行会 ( バスで江原道の平昌・嵩史墓地、五台山公園、月精寺へ) 秋天に心のフタも弾け飛び 山里に眠る句友や天高し 悠久に住む人訪ぬ秋の旅 墓までは坂道小道ねこじゃらし 野辺行けば風にさゆらぐ秋千草 秋天に風鐸響く古刹かな ☆ 十月・勉強句会 たっぷりと秋日浴びをる嵩史の樹 赤きコチュ実りし里のひつじ雲 宵待や哀しと見れば月も無く 立ち寄ればカンカンカンナ紅き庭 母の忌の秋空高しほうき雲 ☆ 十月・吟行句会 (ソウル孝昌公園・金九博物館) 秋麗や風に流るる白き雲 細き枝空に揺らして薄紅葉 母の手に紅葉を渡すもみぢの手 ☆ 十一月・勉強句会 行く秋や日溜まり行けば陽の匂ひ 露寒や酔うて甘えてみたき夜 錦秋や健やかにあれ古希の人 ☆ 十一月・吟行句会 (宗廟とその周辺) 一人より二人がいいね日向ぼこ 居並べば丸き空ある日向ぼこ 真ん中は空いてをります日向ぼこ ☆ 十二月・吟行句会 (ソウル徳寿宮) 極月や異国暮しの長々と 冬日向日時計正しき時示す 冬晴れの宮に雅楽と鳩の群 《 その他もろもろ句 》 障子無く襖無くとも初明かり (異国暮らしであるから仕方ない、、、) 久々に兄の声聞く初電話 百キロで走る枯野や夕焼けて 夕映えや枯野の果てのその果てに 飛ばし来て兵舎の上の冬銀河 非舗装の寒林行けば軍部隊 大寒や日記に記す生の詩(うた) 春隣チェックメイトと子が迫る 校門に屯(たむろ)する子や日脚伸ぶ カーテンに朝の日遊ぶ春立てば 立春や図体太き野鳥来る 開け放ち余寒と思ふきのふけふ 知らせたやこの春暁の月たれかれに 有明の月まろやかに春おぼろ 草も樹も風もうららよ日も麗ら 春宵やきのふの犬にまた出会ふ 寝言にもわが名呼ばるる春の夜 春の夜の大満月と歩きけり 逃げまどふ砂漠の民や春おぼろ 冥土でも酔ふて唄ふか花いちもんめ リラ冷えや一日雨垂れ聴きをりぬ 夜篭りや耳を清ませば春の雨 生き惑ふきのうけふあす花しぐれ 曇り日の街の匂ひと若葉かな 青蔦や路地に連なる韓の屋根 くれなゐのツル薔薇しげる古屋敷 情念は久女に遠し夏百日 恥じらひは男の色気蕎麦の花 実を宿す千百年の大銀杏 秋の日を心行くまでバスの旅 コスモスやわが終の日も咲き誇れ 薄墨に日暮れて秋の旅の宿 ローギアで昇る坂道秋天へ 傷秋と言ふには青き今日の空 木隠れに人の声聞く暮秋かな 読み耽ける句集一冊夜半の秋 枯野来て灯台のある海に出づ 高きより木の葉舞ひ落つ静けさよ 冬星や入江は波の音もせず チマ・チョゴリ誂へし日の返り花 品数の揃はぬおでんソウルの夜 亡き父のふるさとは伊予蜜柑剥く わたくしが韓服を着る師走かな |