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変な石を拾った。とても軽くて変な石。
お隣さんの中洲に見せたら、やっぱり首を傾げていた。
中洲は、本を読むのが好きだから、知っていると思ったけど、知らないみたい。
さくらはたくさん生きているから、中洲よりさくらの方が物知りだよって、中洲は言うけど、さくらはよくわかんない。
多分、もっといっぱい生きても、知らないことは無くならないんだろうな。
だって、さくらのまわりには、知らないことがいっぱいで、ちっとも減らないから。
そう言ったら、中洲が、
「学ぶことは楽しいって孔子も言っているよ」って言った。
「コウシ?」
中洲は時々ムツカシイことを言う。それはだいたい本の世界のことで、穴を掘ったり、お昼寝をしたりして、
わかることじゃない。本を読むのはちょっと大変だから、そういうのは聞くことにしている。
「中国の昔の人だよ。とっても偉い先生なんだって」
「ふうん。チュウゴクの人なんだ。キングポストマンとどっちが偉いのかな」
チュウゴクっていうのは、聞いたことがある。海の向こうにある大きな国。コウシはどのくらい昔の人なのかな。
「中洲は、学ぶのって楽しい?お勉強って好き?」
「本を読むのは面白いけど、何が書いてあるのかよくわからないことが多いな。すぐ忘れちゃうし」
「さくらは、嫌いだな。本なんて、重たくて、堅いから枕にもなんない」
小さい字を見ていると、眠たくなって、いつも寝ちゃう。どうして中洲が本を読んでいるのかとっても不思議。お勉強が楽しいなんて、やっぱり偉い人なんだって感じた。
「コウシはこの石がどんな石なのか知っているのかな?」
さくらの拾った石は、石なのにちょっとあったかい感じがする。魔法の石なのかもしれないし、違うかもしれない。さくらはそれを考えるとちょっとどきどきして、コウシに会ってみたいと思った。会えないってことくらいしっているけど、会えないから会いたいって思うのかもしれない。
とりあえず、さくらはその石を宝箱にしまっておくことにした。きっといつか、この石が何の石かわかる時がくる。とっても知りたいから、ジフ山のプラグ院に行って、神様に教えて下さいってお願いしてみることにした。
結局、さくらは、宝箱にその石を入れっぱなしにして、忘れちゃったみたい。
一週間くらいして、宝箱を開けたら、フランって、良い香りがした。少し前から、窓の外から同じ香りがしている。
「春の香り」っていうらしい。
さくらはこの香りが大好きになった。どこから香ってくるのか、宝箱をひっくり返してみたら、あの石からだった。
石から、ぴょんと、緑の角が出ている。これは大発見だった。ベッドに飛び乗って、窓を開ける。(だって、さくらはベッドに乗らないと窓に手が届かないんだもん)外は良い香りで満ちている。
「もしかして、これって……」
さくらは、石を持って、外に飛び出して、玄関の近くに小さな穴を掘った。さくらは穴を掘るのが得意なので、すぐに掘れた。そこに石を埋めて、その上に水をかけた。
わかった!
わかった!
これは石じゃなくて、お花の卵だったんだ。
お花は、土と水が好き。
さくらは一つお利口になった。お花に卵があるなんて、中洲は知っているだろうか。
あの緑の角から、お花が咲くのはいつだろう。
その夜、さくらは夢を見た。
夢の中にコウシが出てきた。コウシは、おじいちゃんだった。花の卵を話をしたら、コウシはにこにこと笑って、よくわかったねって、頭をなでて、ほめてくれた。
