◆サンタがきた

サンタクロースはいます。
皆さんもそう思いませんか?
そのサンタは〜パパ♪♪・・・ということでもなく、北欧のサンタクロース協会のこととも違います。
私の誕生日は12月22日、冬至です。このことは勿論クリスマスとは何の関係もありません。
あえて関係があるとすれば、誕生日には誕生ケーキ、クリスマスにはクリスマスケーキと続けて食べていたことで、少し得した気分にさせられたことくらいでしょうか。
余談はさておいて、私が小学生の頃、近所に真理子という女の子が引っ越してきたことから物語は始まります。
学年にして一つ下、父親の職業柄、転勤が多いらしく、彼女も転校を余儀なくされて、小学校も何度か変わったようです。
この真理子ちゃんは、どちらかといえばおとなしい性格で転校が多かったせいか友達も多くありませんでした。
そのせいかわかりませんが、今でいうイジメにもあっていたと当時のクラスの子が語っていました。
そのような彼女にも心を許せる友達もいました。中でもクラスの美奈という女の子とは親友中の親友でいつも一緒に遊んでいました。
お互いの家に行き来して、必ず誕生日にはプレゼントを贈りあっていました。
特にお気に入りは「熊のぬいぐるみ」で9才の誕生日に美奈ちゃんから贈られたもので、私も一度見せてもらったことがありましたが、胸のところにアップリケのついた、いかにも女の子らしく、可愛らしいものでした。
真理子ちゃんはこの熊のぬいぐるみをいつも抱いていました。
もちろん寝るときも一緒です。

一年ほど経って、彼女は親友の美奈ちゃんと別れるときがきました。
転校のためです。
転校してからも二人は手紙のやりとりをしていました。
しかし、あるときから真理子ちゃんからの手紙が来なくなりました。
「どうしたのだろうか・・。」と美奈ちゃんは心配になって電話したところ、
お母さんが出て、真理子ちゃんが入院していることを知りました。
真理子ちゃんはもともと、あまり丈夫な方でなく、時々体育の授業も休んでいましたが、風邪が原因で肺炎にかかり入院していたのです。

美奈ちゃんは心配して、すぐにでもお見舞いに行きたいと思いましたが、あまりにも遠くて(真理子ちゃんは新潟に引越した)行けません。
ひたすら病気が治って退院できるよう神様にお祈りするしかありませんでした。

その夜、美奈ちゃんは夢を見ました。
夢の中で、入院している真理子ちゃんを訪れていました。
そのとき、真理子ちゃんはグッスリと寝ていたため、起こさないようにそっとベットに寄り添っていました。
お見舞いの花も何も持っていなかったため、その代わりに真理子ちゃんと一緒に眠っている、以前プレゼントした「熊の縫いぐるみ」にピンク色の奇麗なリボンをつけてあげました。
翌日美奈ちゃんは目を覚ましても、昨夜見た夢を鮮明に覚えていました。

一方真理子ちゃんも夢を見ていました。
でも彼女には、それが本当に夢なのかわかりませんでした。
夢かもしれないし、ぼんやりした意識の中で見た幻のようにも思えるし・・。
実は真理子ちゃんはサンタクロースを見たのです。
昨夜は12月24日、クリスマスイブでした。
ここ新潟では、3日ほど前から雪が降り続き、ニュースでは12年ぶりの大雪と告げていました。
雪が降り続く様子は病院の窓からも見えました。
その激しく降り続く雪を眺めながら、真理子ちゃんは眠りにつきました。
ぼんやりした意識の中で、真理子ちゃんは青白く澄んだ光が窓から注がれているのに気がつきました。
その光はやがて人らしい形になりました。
らしいと表現したのは、その姿がぼんやりとしていたためです。
ただ、赤い洋服をきているのだけはわかりました。
「サンタクロースだ!」と真理子ちゃんは思いました。
そのサンタクロースは真理子ちゃんに声をかけるでもなく、しばらくいて、やがて窓から出て行きました。
雪の中をスーッと飛んでいき、やがて姿が見えなくなりました。
真理子ちゃんは、やはり夢だと思いました。

翌朝になり、真理子ちゃんは傍らに眠っている熊の縫いぐるみに奇麗なリボンが結んであるのに気がつきました。
「夢ではなかったんだ!やはりサンタクロースが来てくれたんだ!」
真理子ちゃんはうれしくなりました。

そのことがあってから、3日後に真理子ちゃんは退院することができました。
でもサンタクロースに会ったことは内緒にしておこうと思いました。
とっても大切な宝物に思えたからです。

退院してからも真理子ちゃんと美奈ちゃんはしばらく文通していましたが、
中学校に入り、忙しくなるといつの間にか便りは途絶えてしまいました。

そして二人が再会したのは20才の同窓会のときです。
成人したお祝いを兼ねて同窓会を大々的に行おうということになったのです。
そこで、1年間あまりでしたが、小学校を共に過ごした真理子ちゃんにも声がかけられたのです。
その席で真理子ちゃんと美奈ちゃんは再会しました。
すでに10年が経っていました。
お互い小学校の頃の懐かしい思い出を語り合いました。
うれしくなって、真理子ちゃんは封印していた入院の時の出来事を漏らしました。
サンタクロースに出会ったこと、その証拠に縫いぐるみにリボンがしてあったこと、そしてサンタさんは赤い洋服を着ていたことなど細かく話しました。
美奈ちゃんはその話を聞いて「エッ!」と絶句しました。
何故なら、すでに書いた通り、その日美奈ちゃんは夢の中で、真理子ちゃんをお見舞いし、縫いぐるみにリボンを結んできたからです。
そしてその頃はお気に入りの赤いパジャマを着ていました。
そのことを真理子ちゃんに告げると、真理子ちゃんは大変驚くとともに、あの時病院にきたサンタクロースが美奈ちゃんであることをはじめて知ったのです。
その場で二人は抱き合いました。

二人の友情は今でも続いています。
ここに書いた話は私が3年ほど前に美奈ちゃんから聞いたことです。
私はその話を聞いて感動しました。
そして皆様に伝えなければと思ったのです。

皆様、メリークリスマス!!