エルニーニョという言葉はニュースなどでおなじみですが、エルニーニョとはどんなものなのかというと、いまいちぱっとイメージが湧いてこない人が多いとおもいます(実際私もそうでした)。そもそもエルニーニョとは「神の子」という意味で、これはペルーの漁師がクリスマス近くに漁をしていて海水の異常な暖かさに気付いてこの名前をつけた、と言われています。その逆の現象としてラニーニャというものがありますが、これは「神の子(女性)」という意味を持っています。 現象としてのエルニーニョはなにかというと赤道付近の海水温(特にペルー沖が顕著)の上昇で、世界のいろんな異常気象に関わっていると言われています。なぜ海水の温度が上がると洪水が起こったり、干ばつになったり、漁獲高が減ってしまったりするのでしょうか?きょうは、赤道付近に限定して簡単な説明をします。 まず、気象についての基本的な説明からしましょう(もう知っている人は飛ばしてもいいです)。空気は、暖かくなると上へ行きます。冬場で部屋の温度が上に行くにつれて暖かくなる、ということを思い出せばわかりますね。その逆で冷たくなると下へ降りてきます。また、空気は水分(水蒸気)を持つことができて、それに限界があります。その限界をこえると水蒸気は水となって出てきます。これらをつかって考えると、雨が降るメカニズムを説明することができます。まず、暖かく、水蒸気を持った空気が上へ行きます。どんどん水蒸気が上空にたまっていきます。上空では温度は地上と比べて低く、空気が水蒸気を持てる限界量が減少します。それで、あぶれでてしまった水蒸気は、空気中の塵などを核として集まり、雨となって地上に降り注ぎます。こういう空気の流れは「低気圧性」のもので天気予報の低気圧もこのようなものです。つぎにあるところで空気が上がるとどこかで空気が降りてきます。気温がほかと比べて低いところに降りてきます。この時空気は余分な水蒸気を雨としてなくしているので乾いています。こういうところでは、大気は安定していて天気がいいのです。これは「高気圧性」のもので、高気圧もこのようなものです。 赤道付近では(ペルー沖からインドネシア近海)東から西へ風が吹いていて海水を東から西へ押しています。このためペルー沖とインドネシア近海では約50cmくらいの平均海面の高さの差があります。またペルー沖には北上する寒流が流れていてこれが太平洋を横断する間に日光によって暖められます。このため東と西とでは約8度Cの海水の温度差があります。ふつうと言われる状態はインドネシア付近では雨が多く(海水温が高い)、ペルーあたり(南アメリカ大陸西岸一般に)雨が少ない、ということです。 エルニーニョのときは東から西へ吹く風(貿易風)が弱く、西(インドネシア近海)にたまっていた暖かい水が東の方へ流れてきます。そのため、インドネシア辺りにあった低圧帯が東へ移動し、平均の年と比べてインドネシアは降水量が少なく、ペルーにはいつもより多くの雨が降ります。たとえばペルーの植生その他は、多くの雨に対応するものでは元々ないため、洪水が起こってしまったと考えられます。またインドネシアの原生林の大火事は有名ですね。その火事でできた煙はシンガポールまで行ったと言われています。 またエルニーニョが漁業に与える影響は、プランクトンの減少による漁獲高の低下です。プランクトンの減少のメカニズムは次のようになります。南アメリカ大陸を北に向かって流れている寒流は、深いところからわき上がってもいます。この「わき上がる」水はミネラルを供給しています。このミネラルでプランクトンが成長しているということです。しかしエルニーニョのときは、暖かい水が冷たい水の上におおいかぶさるので、したからわきあがってくる水が十分海水面近くに上がってこれず、プランクトンへのミネラルの供給効率が下がってしまい、プランクトンが減ってしまいます。結果的にこれを補食している魚の数も減ってしまいます。 とりあえず今日はここまで書くことにします。 書斎へ。 ホームに戻る。