本当は怖い「アルプスの少女ハイジ」2(ユキちゃん編)


ペーターが世話をするヤギの中に「ユキ」というヤギがいました。
ユキはかわいい真っ白な子山羊です。ハイジは「ユキちゃん」と呼んでたいそうかわいがっていました。
ある日、ペーターはびっくりするようなことを言いました。
「ハイジ・・・」
「なに?ペーター」
「実は、ユキは挽肉にされちゃうんだ・・・」
「がーん・・・どうして??」
「お乳が全然出ないから役に立たないんだよ。だから飼い主のヨハンさんがユキをつぶしてしまうと言っていたんだ」
ハイジはみるみるうちに泣き顔になってしまいました。
「エーンエーン、どうすればいいの?ペーター」
「ユキに薬草をいっぱい食べさせるんだよ、ハイジ。そうすれば、おいしいお乳がいっぱいでるかもしれない。そうなればヨハンさんもユキをつぶそうなんて言わないに違いないよ」
「言わないに違いない・・・」ハイジは幼児だったので三重否定がわかりませんでした。
三重否定は否定なのです。
「どういうこと?」
「言わないにちがいないことはないことはないってことさ、ってことはないことはない・・・ことはないことはない」
ペーターもわからなくなってしまいました。とにかくユキちゃんに薬草を食べさせることになりました。
それからハイジとペーターは、毎日毎日ユキちゃんを高所難所に連れていき薬草を食べさせました。
毎日薬草を食べているユキちゃんは見る見るうちに体が大きくなり、肉の張りも増してきました。
ハイジはそういうユキちゃんを見ているうちに、いけない考えが頭をもたげ始めました。
「おいしそう・・・」
ある日、ハイジは夜こっそり山小屋を抜け出しデルフリ村に下り、ヨハンさんの家のユキちゃんの小屋に忍びこみました。
「私についておいで、ユキちゃん。」
ハイジとユキちゃんはそのまま夜の闇に消えていきました。
そしてその数時間後、ハイジの雄叫びが月が照らす村中に響きました。
「ぅめえ〜〜〜〜(ユキちゃんの鳴き声のごとく)」

そう、ヤギは美味しかったのです。

つづく・・・