『羽』〜はじめの話〜
これは、奇跡を語った話ではない。
誰もが遭遇できる小さな出来事なのかもしれない。
僕はふつうの小学生だ。
とくに取り柄が有るわけでもなく、とくになにかが欠けているわけでもない。
僕は、どこにでもいる、ふつうの小学生なんだ。
でもね。ひとつだけ違う点がある。
それは僕の背中に『羽』があること。
ある日、僕は空を飛ぶ夢を見たんだ。そして、どうしても空が飛びたいと思った。
その日は起きてからずっと空を飛ぶ方法を考えた。
丘から走って手をバタバタしたり、パラシュートを創ってみたりした。
でも、うまくはいかなかった。そりゃそうだ。
落ちこむ僕の前に天使が現れた。
それは突然で、すっごく素敵なことだった。
天使は僕の前に降りたって、笑って、僕にぺこりとお辞儀をしたんだ。
そして僕は天使から『羽』をもらった。
今、天使は僕のところには居ない。
そして、空を飛べたわけでもない・・・。
背中に、『羽』が残されたのみだ。
『羽』は僕を飛ばしてくれなかった。
『羽』は羽ばたくこともなく、僕の背中にはりついているだけだ。
天使はなんのために、僕に『羽』を付けたんだろう。
僕が飛ぶために、あと何が必要だっていうの?
何かが足りない。飛べない。なぜ?
『羽』ってなんなのさ。誰か答えてよ!
飛ぶために必要なものって何?
製作:くり