独り言でも書いたように私はススキノがとても好きです。私はススキノでの飲み方をこの小説から学んだといっても過言ではないでしょう。東さん本人は北海道大学を中退後ススキノでその日暮らしをしながら、様々な仕事を転々としていたという経歴の持ち主です。主人公である<俺>もそんな東さん自身に重なる部分が多く、ススキノ歴の長さを物語っています。この人に比べるとまだまだねぼすけはひよっこだなと感じます。
小説としてもすごく面白く、ハードボイルドともミステリーともちょっと違う新感覚の読み物といえると思います。決してスマートではないのですが格好よく、軽快でさわやかな小説に出来上がっています。また、いかにも道産子らしい登場人物たちや所々に散りばめられている鋭い時代に対する視点、芸が細かく笑いところが多い点など肩肘張らずに読み込める小説であると思います。
結構シビアに描写されている部分も多く、上品な作品とは言えませんのでおこちゃまや刺激を好まない方にはあまりお勧めできませんがそれでも一見の価値はあります。ハマりますよ。
札幌に住んでいる私は地名などなんの違和感も持たず読むことができるのですが、札幌に土地感のない方は札幌とその周辺の地図を見ながら読むと更に楽しめると思います。
ただ、問題が一つあります。発行しているのが海外作家の小説で有名なハヤカワ文庫だけに本屋に無いことが多いということです。少なくても札幌ではハヤカワ文庫の海外作家の作品をおいてある書店は多いですが、日本人作家の作品をおいてある書店はほとんどありません。ですから、もし書店で「東直己」の作品を見かけたら是非入手することをお勧めしますよ。
|