通勤ラッシュの時間帯では、座っていても向かい側の人にはお目にかからずに目的地に着いてしまうこともしばしばですが、空いている電車の座席に座っていると意外と目立つのが、向かい側に座っている人の足元です。
よく、人を判断するのは靴を見るとよいといいます。靴というのは、ぱっと見て目立つ洋服やバッグに比べて存在感が薄いものなので、おしゃれをしようと心がけていても、つい靴より洋服やバッグを買ってしまい、靴は後回し…ということになるわけです。男性の場合は、誰も彼も同じようなスーツを着ている中で、靴まできちんと手入れされているという人はなかなか見掛けません。まあもっとも、自分で靴の手入れをしなくてもいいような人々は、専用のハイヤーか何かで出勤するのかもしれないですけれど。
先日見掛けた人は、年齢は20歳そこそこでしょうか。地下鉄のホームでたばこを吸っていました。もちろん地下鉄構内では禁煙ですから、彼はルール違反をしているわけですが、周囲の人たちも誰も注意するわけでもなく煙たそうにしていました。ホームに滑り込んできた電車は比較的空いており、座席に座った私の向かい側に、たばこの彼が「ドカッ」と腰をかけました。そして、私の観察の対象になってくれたわけです。
髪の毛は、茶色を通り越した金色で根元は真っ黒。毛先にはくりくりとパーマをかけ、さながらかた焼きソバが頭に乗っかったかんじでしょうか。モスグーリーンともいえない真冬のプールみたいなくすんだ色のスーツを着て、中には魚屋さんで魚を入れてくれるビニール袋で作ったような水色のシャツを着ていました。もうそれだけで私はかなり彼の品性を疑っていましたが、極めつけはやはり足元でした。今時疲れきったサラリーマンしか履いていないような黒いおじさん靴に、蛍光みどりの靴下…。
地下鉄のホームでたばこを吸うような人に、服装がどうのこうのと言うつもりはさらさらありませんが、これまた趣味の悪いセカンドバッグから手鏡を取り出して髪をとかしていた彼に、せめて「蛍光色の靴下は、スーツにはあいませんよ」といってあげるのが、彼のためだったのでしょうか…。