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まず、聖書のどの書をコンテキストにするか、決めなくてはいけません。比較的易しい?ガラテヤの信徒への手紙あたりから選んでみましょう。2章15〜21節 「すべての人は信仰によって義とされる」です。
事例:ガラテヤの信徒への手紙 第2章15〜21節の聖書研究
1.聖書と、聖書辞典を用意する
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聖書辞典は、小型のハンドブック程度で充分です。小さい方が要領よくまとめてあります。持っていなければ、教会や図書室で借りたり、調べたりしましょう。注解書は、とりあえず必要ありません。
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2.聖書辞典で、「ガラテヤ」と、「ガラテヤの信徒への手紙」を調べる。
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☆ 調べながら、要点を箇条書きにメモしておきましょう。
ガラテヤ:小アジア(現在のトルコ)中央部の地方。ローマ属州で高原地帯。
”エルサレムから遠い”ということと、いろいろな民族が居るということを認識します。
目的:律法主義者によって混乱させられた教会のたてなおし。
著者:パウロ
年代:AD51〜2年前後
著作の場所:不明
宛先:ガラテヤの(諸教会の)信徒たち
「北ガラテヤ説」と、「南ガラテヤ説」がありますが、この際、知らんふりしておきましょう!?
要旨:ガラテヤの教会(複数)にユタヤ人がやってきて、教会を混乱させたので、律法主義を打ち砕いて、信仰による義による、福音の真理を明らかにしした。
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3.聖書を読む
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☆ この場合、ガラテヤの信徒への手紙全部を読みます。これは、できるだけ全体の流れや、パウロの主張したいことを把握するためです。面倒でも、2章のほかに1章と6章だけでも読んでおきたいところです。
1章 あいさつ/ほかの福音はない/パウロが使徒として選ばれた次第
2章 使徒たち、パウロを受け入れる/パウロ、ペトロを非難する/すべての人は信仰によって義とされる。
3章 律法によるか、信仰によるか/律法と約束/奴隷ではなく、神の子である
4章 キリストがあなたのうちに形づくられるまで/二人の女のたとえ
5章 キリスト者の自由/霊の実と肉の業
6章 信仰に基づいた助け合い/結びの言葉
☆ だいたいどんなことが書いてあるか、メモ書きしながら頭に入れます。
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4.該当個所を精読する
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■ ガラテヤの信徒への手紙 2章15〜21節 「すべての人は信仰によって義とされる」
(15)わたしたちは生まれながらのユダヤ人であって、異邦人のような罪人ではありません。
(16) けれども、人は律法の実行ではなく、ただイエス・キリストへの信仰によって義とされると知って、
わたしたちもキリスト・イエスを信じました。これは、律法の実行ではなく、キリストへの信仰によって義としていただくためでした。
なぜなら、律法の実行によっては、だれ一人として義とされないからです。
(17)もしわたしたちが、キリストによって義とされるように努めながら、自分自身も罪人であるなら、
キリストは罪に仕える者ということになるのでしょうか。決してそうではない。
(18)もし自分で打ち壊したものを再び建てるとすれば、わたしは自分が違犯者であると証明することになります。
(19)わたしは神に対して生きるために、律法に対しては律法によって死んだのです。わたしは、キリストと共に十字架につけられています。
(20)生きているのは、もはやわたしではありません。キリストがわたしの内に生きておられるのです。わたしが今、肉において生きているのは、わたしを愛し、わたしのために身を献げられた神の子に対する信仰によるものです。
(21)わたしは、神の恵みを無にはしません。もし、人が律法のお陰で義とされるとすれば、それこそ、キリストの死は無意味になってしまいます。
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5.キーワードを選び、聖書辞典で調べる
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「罪」〜「罪人」、「異邦人」、「信仰」、「律法」・・・その他、関心を持った語句。
パウロにおける「罪」の解釈が、彼独特のものであることが分かります。
それはモーセの律法に結びつけたことです。
律法は人を救いに導くものでしたが、人はこれを完全に守ることはできず、結果としては人を罪に陥れるものになってしまいました。イエス・キリストこそ、人を罪から救うことができた。律法を破棄することで、律法の精神(人を罪から救う)を完成された。
☆ 聖書辞典を引くときに、孫引きになることがありますが、面倒がらずにどんどん調べましょう。この箇所の場合、「信仰」から「信仰義認」が孫引きできれば成功です。
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6.頭の中で何度も反芻する。
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熟成、というか、自分が納得できるまで考えてみます。ひらめきが与えられることがあります。数時間から、数日。ときどき、聖書とにらめっこ。
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7.要約する。
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箇条書きでいいでしょう。いきなり文章にしない方がベターです。自分でわかる書き方でいいでしょう。
(例)
テーマ:ただイエス・キリストへの信仰によってのみ義とされる(信仰義認)。
著者:パウロ
年代:AD51〜2年前後
著作の場所:不明
宛先:ガラテヤの(諸教会の)信徒たち
背景:
パウロは異邦人の伝道を任され、伝道していた。
ユダヤ教の律法を強制しなかったので、ユダヤ人クリスチャンから異議が出た。
AD49年のエルサレム会議でペテロ、ヤコブ、ヨハネに律法(戒律)を強制しなくて良いと承認された。
それに怒った律法主義者がガリラヤで反パウロ工作をした。
ガリラヤの諸教会で酷い混乱が起きた。
パウロはこれを治め、イエス・キリストの福音に帰るよう、手紙を書いた。
内容:
(15)ここでの「罪人」とは、律法を守っていないという意味での「異邦人」
言い換えれば、「異邦人は律法を守っていない」ということ。
(16)律法の実行ではなくて、イエス・キリストへの信仰によって義とされる。・・・パウロ自身の経験
律法を完全に守れる人はいない。だから、律法で義とされることはない。
(17)ここでの「罪人」は「律法の行いによって義とされようとする人」という意味での「ユダヤ人」
ただ主イエス・キリストによってのみ、救いを与えられる。
義のイエス・キリストは、罪の律法に仕えるものではない。
イエス・キリストは、そのために十字架にかかった。
(18)律法によっては救われないとして、イエス・キリストを受け入れたのに、再び律法によって救われようというなら、「救われていない」と認めるようなものだ。
(19)わたしは、イエス・キリストと共に十字架につけられています。・・・・「ユダヤ人たるパウロは」の意
(20)生きているのは、(律法的ユダヤ人)パウロではなく、キリストの救いが私の内に生きている。
私が生きているのは、信仰によるのだ。
(21)せっかくイエス・キリストが律法を無効にしてくださったのに、私が律法を守ろうとするのはイエス・キリストの行為を無にするものだ。
(結語・・・・自分が感じたこと)
☆ 文章の意味を把握するのは、簡単そうでいて難しいですね。15節の"罪人"と、17節の"罪人"が全く違う内容だということに気が付かないと、文意がくみ取れません。じっくり、納得できるまで考えましょう。分からなければ、発表する時、「この部分は、こう思うけど、よく分かりません」と言えば良いのです。
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8.もう一度ガラテヤの信徒への手紙全体を読む。
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☆ 自分が考え、感じたことが間違いないかを検証します。
律法主義者達が「割礼」や「食事」など、律法全体ではなく、些末なことを問題にしていた事が分かります。また、イエス・キリストに出会う前のパウロの方が、余程これらの律法主義者より律法に忠実(正統的)であったという事が書いてあります。「インチキユダヤ人め」という感情が現れている場所があります。注解書が身近にあれば、参考にするといいでしょう。
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9.発表する。
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☆ ここまで用意できれば、準備は万端。自信を持って臨みましょう。調べたこと全部ではなく、ポイントと要点を押さえて、手短に語りましょう。時間にして5〜10分程度。
メモを見ながら"テーマ"から"結語"まで発表する。
その場に牧師が居れば、発表のあとに「”信仰義認”は、キリスト教の根幹になる教義で、この箇所はとても大切なことを語っています。ロマ書1章5節では・・・」などと、
アドバイスしてくれるでしょう。
★ どうしても時間がない人は、「ガラテヤ」を3回熟読、このページをプリントし、結語を記入して使用してください。(余白が取ってあります)★
参考文献:新聖書大辞典(1971/03/01 キリスト新聞社) 聖書引用:新共同訳聖書(日本聖書協会 1989)
あとがき
いつかこのようなページを作ってみたいと思っていました。"コンテキストはガラテヤ書"と決めていましたが、
なにぶんナマケモノなので、思いついてからその気になるまで1年くらいかかってしまいました。「要約する」というのは簡単そうで難しいことですが、
馴れればだんだん早くなります。ここで紹介したのは、少し手間のかかる方法ですが、
注解書(アンチョコ)に依存していないので、面倒な分、身に付きます。何より聖書とにらめっこすることが大事だと分かります。初心者でも少し頑張れば、ベテラン信徒が舌を巻くほどの聖書研究が出来ると思います。
なお、聖書辞典で「救済史」など関連事項を調べれば、もっと深く語れると思います。
車が運転できるようになればドライブが楽しくなります。パソコンに楽器やスポーツ、あるいは稽古事。みな同じだと思います。聖書研究も自分で出来るようになったら楽しくなります。
パソコン教室やオルガン教室はあるけれど、「聖書研究教室」ってあまり聞きませんね。「ムーミンパパ方式」を紹介してみました。お役に立てたら幸いです。
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